ⓔ図8-5-23 症例3:40歳代男性,バイク事故.臥位の胸部単純写真 右第4肋骨に骨折がある.その他,大きな所見はないだろうか (A).左の肋骨横隔膜角が深く,左横隔膜の辺りが対側より黒くみえることに注目したい.これはそれぞれdeep sulcus sign,basilar hyperlucencyと呼ばれるサインであり臥位の胸部単純写真における気胸を示している (B).参考までに同症例のCT像を示す (C).臥位における気胸は立位に比べて気づくのが難しく,気胸を示唆するサインがないか普段から気をつけて読影するようにしたい.  また心左縁や左の横隔膜の輪郭が通常より明瞭であることに気づかれるだろうか.これは気胸の空気が心や横隔膜と直接接しているためである.無気肺や肺炎に接する心大血管の辺縁が不明瞭になる現象 (シルエットサイン) は有名であるが,本症例のように逆に通常より辺縁が明瞭にみえる場合には,気胸や縦隔気腫を疑ってみる.
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