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内容紹介
分子性物質をめぐる物性研究の基礎から注目テーマまで解説。〔内容〕分子性結晶とは/電子相関と金属絶縁体転移/スピン液体/磁場誘起超伝導/電界誘起相転移/質量のないディラック電子/電子型誘電体/光誘起相転移と超高速光応答
編集部から
現代の物性物理学におけるフロンティアである分子性物質に関する物性研究のなかでも,とくに注目度の高いテーマを取り上げて解説する.第1章で分子性物質の基礎的な特徴をまとめ,以降の各章はそれぞれの研究領域の包括的なテキストとして独立に読める構成.読者は関心のあるテーマからアプローチし,関連領域へ読み進めることができる.分子を中間構造体として構成される分子性物質は,構造的な配列の多様性,軌道の設計可能性,屈曲などの構造可変性といった自由度をもち,無限の可能性を秘めている.固体物理学や新物質科学を志す大学生・大学院生にとって,現代的な物性研究の足場となる知見を提供する最良のテキスト.〔内容〕分子性物質とは/電子相関と金属-絶縁体転移/スピン液体/磁場誘起超伝導/電界誘起相転移/質量のないディラック電子/電子型誘電体/光誘起相転移と超高速光応答
目次
まえがき
1. 分子性物質とは
1.1 分子の作る結晶
1.2 分子性伝導体の歴史
1.3 分子性物質の構造
1.4 分子性物質の電子
1.5 電子状態の不安定性と多様性
1.6 なぜ分子性物質か?
1.7 本 書 の 概 観
2. 電子相関と金属-絶縁体転移
2.1 金属状態と絶縁体状態
2.2 強相関電子状態
2.3 電荷秩序絶縁体
2.4 モット絶縁体
3. ス ピ ン 液 体
3.1 スピン系におけるフラストレーションとは
3.2 磁性の基礎理論とスピン液体への興味
3.3 スピン液体的な性質を示す物質
3.4 ダイマーモット型の分子性スピン液体物質
3.5 スピン液体基底状態の実証
3.6 熱力学的な基底状態と励起構造
3.7 磁 気 的 性 質
3.8 熱 伝 導
3.9 誘電率と熱容量・熱膨張率の異常
3.10 スピン液体状態と周辺相の関係
3.11 スピン液体の理論的な興味
3.12 今後の課題と展望
4. 磁場誘起超伝導
4.1 有機超伝導体と磁場効果
4.2 ジャッカリーノ-ピーター効果
4.3 -(BETS)2FeCl4 の結晶構造
4.4 磁場誘起超伝導
4.5 フィッシャー理論による解析
4.6 その他の磁場誘起超伝導
4.7 新奇超伝導:FFLO 超伝導
4.8 超伝導秩序変数の空間変化
4.9 磁 気 ト ル ク
4.10 FFLO 状態の磁場方位依存性
5. 電界誘起相転移
5.1 フィリング制御型相転移と分子性固体
5.2 フィリング制御とアンダーソン転移
5.3 フィリング制御とモット転移
5.4 有機FET
5.5 分子性導体を用いた有機FET
5.6 有機モットFET
5.7 電界誘起モット転移
5.8 有機モットFET の両極性動作
5.9 フレキシブル・モットFET
5.10 有機超伝導FET
5.11 この章のまとめ
6. 質量のないディラック電子
6.1 固体中における質量のないディラック電子
6.2 分子性ディラック電子系のバンド構造
6.3 ディラック電子系のハミルトニアン
6.4 ディラック電子のランダウ状態
6.5 ディラック電子系物質の物理現象
6.6 磁場下のディラック電子
6.7 この章のまとめ
7. 電子型誘電体
7.1 強誘電体とは
7.2 巨視的強誘電分極の物理的解釈
7.3 イオン強誘電性と電子強誘電性
8. 光誘起相転移と超高速光応答
8.1 分子性物質の光誘起相転移
8.2 超高速光誘起相転移の測定法
8.3 光誘起絶縁体-金属転移
8.4 光誘起中性-イオン性転移
8.5 テラヘルツ光による強誘電分極の超高速制御
8.6 この章のまとめ
化合物略称リスト
索 引