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非平衡と相転移 新装版 ―メソスケールの統計物理学―
川崎 恭治(著)
内容紹介
本書は『非平衡と相転移』(2000年刊)を底本として刊行したものです。ミクロとマクロの中間に位置する物理を連続体的観点を軸に記述した待望の書。〔内容〕非平衡とは/平衡相転移/気体の動力学/線形応答理論の概要/動的臨界現象/秩序化過程の動力学/運動方程式の縮約/微視的スケールのダイナミクス
編集部から
目次
1. 非平衡と相転移とは:予備的考察 1.1 はじめに 1.2 非平衡の簡単な歴史 1.3 平衡系の相転移論の簡単な歴史 1.4 揺らぎの熱力学 静的側面/動的側面 1.5 巨視的法則の例:2成分流体 1.6 ブラウン運動 1.7 Appendix ルジャンドル変換/相反関係2. 平衡相転移 2.1 ランダウ理論 熱力学的特異性/ランダウ理論の微視的解釈と問題点 2.2 ギンズブルグ-ランダウ理論 ギンズブルグ-ランダウ理論/ギンズブルグ-ランダウ理論の基礎 2.3 スケーリング理論 2.4 くりこみ群理論 2.5 Appendix クロネッカーのデルタとディラックのデルタ関数との関係/静的な揺らぎと応答/(2.4.29),(2.4.30),(2.4.31)式の導出3. 気体の動力学 3.1 はじめに 3.2 初等的理論 3.3 ボルツマン方程式による輸送現象 ボルツマン方程式の初等的導出/ボルツマンのH定理/気体における巨視的法則の導出/エントロピーの生成 3.4 N粒子運動方程式からの導出 クラスター展開/階層構造 3.5 有限密度における気体の輸送現象 輸送係数の密度補正/エンスコグ(Enskog)理論 3.6 Appendix ボルツマン方程式の導出4. 線形応答理論の概要 4.1 力学的摂動 4.2 熱的摂動 4.3 輸送係数の性質 4.4 ロングテールについて5. 動的臨界現象 5.1 非平衡における集団運動とモード結合 5.2 粗視変数の運動学的方程式 ブラウン運動理論からの類推/運動学的方程式の非可逆性/揺動散逸定理について 5.3 可逆的モード結合項のセルフコンシステントな取り扱い 5.4 臨界液体 臨界液体のセルフコンシステントな取り扱い/臨界液体におけるレーリー散乱/秩序変数のみの閉じたフォッカー-プランク型の方程式/くりこみ群的考察 5.5 動的くりこみ群:一般論 5.6 Appendix 可逆的モード結合係数の微視的表式の証明/力の表式の導出/MSRフォーマリズム/角度平均の計算6. 秩序化過程の動力学 6.1 熱力学的に不安定な状態での揺らぎの成長 一般的考察/クエンチ直後の線形理論/非線形領域の理論について/成長の後期過程:界面の運動方程式/後期過程におけるスケール則/界面系の条件つきエントロピー 6.2 非保存系の解析的取り扱い トポジカルな欠陥の統計7. 運動方程式の縮約 7.1 局所平衡と射影 7.2 ダイナミクスの縮約I:粗視変数での記述 7.3 ダイナミクスの縮約II:粗視変数の多項式で張られる部分空間へ 7.4 時間相関関数とモード結合 7.5 縮約された記述におけるH定理 7.6 Appendix 対称性など8. 微視的スケールでのダイナミクス 8.1 静的密度汎関数理論 変分原理/相関関数/Hの近似形 8.2 過冷却液体とガラス転移 動的臨界現象との比較/過冷却液体とガラス転移のモード結合理論/動的密度汎関数理論 8.3 液体の動力学 位相空間分布関数による定式化 8.4 Appendix 2種類の自由エネルギー密度汎関数について9. 概略と展望10. 索 引