BOOK SEARCH
内容紹介
日本の湖沼を科学的視点からわかりやすく紹介。〔内容〕I.湖の科学(流域水循環,水収支など)/II.日本の湖沼環境(サロマ湖から上甑島湖沼群まで,全国40の湖・湖沼群を湖盆図や地勢図,写真,水温水質図と共に紹介)/付表。
編集部から
榧根勇先生(筑波大学名誉教授、元日本学術会議会員)より「推薦文」をいただきました。
日本の湖沼について、写真とデータ付の学術書が、4色刷りの美しい図説として出版された。画期的な出来事と喜びたい。いま人々の欲望はモノからコトへ変わりつつある。天から降る水はモノであるが、情報でもある。水のはこぶ情報は、湖という舞台でモノとコトとのつながりをもたらす。本書が、保養、観光、アート、物語、スポーツなど、湖を舞台にするコトの世界への道案内としても広く活用されることを期待する。
*日本図書館協会選定図書2015
目次
第Ⅰ部 湖の科学
第1章 湖の世界
●小宇宙から流域水循環へ
●日本の湖沼学研究:黎明と展開
●地球上の水と湖水の存在量
●日本の湖の特色
●地球環境変容のセンサーとしての湖
第2章 湖の自然
●湖盆の成因と形態
●水収支
●湖水の流動と循環
●水色・透明度
●水温
●水質
●湖底堆積物
●生産と湖沼型
第Ⅱ部 日本の湖沼環境
第1章 北海道
●サロマ湖――オホーツク海に面した広大な汽水湖
●網走湖――深層に海水が侵入する二層構造をもつ
●摩周湖――霧の中で神秘的な深い藍色の水をたたえる
●屈斜路湖――御神渡り現象がみられる日本最大のカルデラ湖
●阿寒湖――特別天然記念物マリモが生育
●支笏湖――日本有数の水質のよさを誇る
●倶多楽湖――ほぼ円形をした澄んだ湖
●洞爺湖――周辺地域とともに世界ジオパークに認定
●渡島大沼・小沼――秀麗な駒ヶ岳を望む風光明媚な湖
第2章 東北
●十三湖――中世に栄えた幻の港町十三湊があった湖
●十和田湖――観光とヒメマス養殖で知られる
●一ノ目潟・二ノ目潟・三ノ目潟――周辺地層から地球深部の構成物質を発見
●田沢湖――日本で最も深い湖
●蔵王御釜――水色の変化が美しい強酸性の湖
●裏磐梯湖沼群――磐梯山の噴火でできた多様な湖沼群
●猪苗代湖――湖水がさまざまに利用される,水質のよい湖
第3章 関東
●日光湯ノ湖――湯の香漂う山間の湖
●中禅寺湖――日光国立公園の中の幽玄の湖
●霞ヶ浦――日本で第2位の面積をもつ平地の湖
●手賀沼――人口稠密地にあってさまざまな人的影響を受ける
●榛名湖――多くの観光客が訪れる山上の湖
●湯釜――緑白色の強酸性の湖
●芦ノ湖――富士箱根伊豆国立公園に位置する景勝地
第4章 甲信越・東海・北陸
●富士五湖――「富士山:信仰の対象と芸術の源泉」の一部としての世界遺産
●野尻湖――ナウマンゾウ化石などの発掘で知られる
●仁科三湖――北アルプスの麓に連なる静かな湖
●諏訪湖――御神渡りの記録から過去の気候変動が復元
●大正池――大正時代に誕生した新しい湖
●高山湖沼群――さまざまな成因をもつ雲の上の湖沼群
●浜名湖――古くからの東西交通の要所
●三方五湖――湖沼環境の多様性と特異性で世界的に注目
第5章 近畿・中国・四国
●琵琶湖――日本最大で世界第3位の古代型湖
●中海――多様な産業を支える広大な汽水湖
●宍道湖――神話と伝説の湖
第6章 九州
●霧島湖沼群――火山の中に散らばる個性豊かな湖沼群
●池田湖――山麓湧水を養う,深く明るい南国の湖
●鰻池――火山地帯の静かな湖
●上甑島湖沼群――海水との交流がもたらす南の島の不思議な湖沼群
●付表:日本のおもな湖の位置と湖盆形態/文献