発光生物のはなし ―ホタル,きのこ,深海魚……世界は光る生き物でイッパイだ―

大場 裕一(編)

大場 裕一(編)

定価 3,300 円(本体 3,000 円+税)

A5判/192ページ
刊行日:2024年10月01日
ISBN:978-4-254-17192-1 C3045

ネット書店で購入する amazon e-hon 紀伊國屋書店 honto Honya Club Rakutenブックス くまざわ書店

書店の店頭在庫を確認する 紀伊國屋書店

内容紹介

世界のさまざまな発光生物をとりあげ,「生きものが光る」現象の不思議さやおもしろさを解説.身近な発光生物の見つけかたや採取法,スマホでの撮影方法なども紹介する.〔内容〕光る化学/光る役割/光るきのこ/発光ミミズ/ホタル(日本・海外編)/発光クラゲ/ホタルイカ/ウミホタル/光るサメ/光るヒトデ・ナマコ など

編集部から

はじめに

 世界は光る生き物でいっぱいだ。海にも山にも,皆さんのいるその辺りにも。日本でしかほぼ見られないウミホタルやホタルイカから,ニュージーランドにしかいない淡水巻貝ラチアまで,この不思議に満ちた発光生物たちが地球上のあちこちでひっそり闇を照らしていることの驚きを,皆さんにお伝えしたい。しかも,それぞれの発光生物のことを一番よく知っている人にそれを語ってほしい。それが,この本を編集した私のねらいです。ですから,こうした本ではちょっと異例なことかもしれませんが,執筆者には大学院生や外国人も名前を連ねています。長らく発光生物の研究に携わってきた私が精選した「この発光生物について語るならこの人!」というベストメンバーです。
 ところで,この本にはほぼ同じタイトルの先輩本があります。羽根田弥太博士による『発光生物の話』という本です。この本は1972年に北隆館から出ていますが,今は絶版です。羽根田博士のことは本書にもいくつか出てきますが,ひとことで言うならば「日本の発光生物学の父」です。その羽根田博士が日本のみならず世界のあちこちで見つけた発光生物をわかりやすく一般向けに紹介した類書のない素晴らしい本でしたが,なにせ50年前の出版です。内容を新しくしなくてはいけない部分も多いことを感じていたところへ,ちょうど「?のはなし」というタイトルで身近な事柄を科学的に説明する本をいくつも刊行している朝倉書店さんから私にこの企画の話がやってきたのでした。ですから,この本は,「先輩格の『発光生物の話』に敬意を表しつつ,リニューアルするには私一人ではできなかったからみんなで書いた本」ということになるでしょう。
 もうひとつ,50年前との大きな違いは,カメラ技術の進歩により当時はなかった発光生物の美しい光の写真や動画が手に入れられるようになったことです。本書では,おそらく他では見ることができない貴重な写真や動画をふんだんに盛り込んでいます。これら素晴らしい資料を惜しみなく提供してくださった著者の皆さんに深く感謝申し上げます。私としても,この点は本書のかなり自慢できるポイントだと思っています。
 最後に,本書には4コマ漫画がいくつか出てくることにお気付きでしょう。私は物事を順序立てて説明する時に漫画が発揮する威力というものにいつも感心していましたので,無理を言って漫画をいくつか入れさせていただきました。ちなみに,これらの漫画を描いたのは共著者自身だったり,共著者の奥さんだったり,イラストも描いてくれた石井桃子さんだったり,私も漫画を描いたことはありませんでしたが1つだけチャレンジして描いてみました(ラフスケッチだけですが)。
 そんな,共著者やその家族や編集部の方々のたくさんの想いと情熱が詰まった本書をこうして読者の皆さまにお届けできますことを,ひとりの発光生物学者としてとても嬉しく思います。末筆ながら,朝倉書店編集部の皆さんに深く感謝申し上げます。

 2024年 ちょうどホタルの舞う時節に訪れた広島にて
 大場裕一

目次

第I部 発光生物とは
 第1章 光る生物のはなし
 第2章 発光生物の光のしくみのはなし
 第3章 光の役割のはなし
 ◆コラム1 ニュージーランドの発光生物
 ◆コラム2 羽根田弥太と日本の発光生物学

第II部 陸の発光生物
 第4章 光るきのこのはなし
 ◆コラム3 光るカタツムリ
 第5章 発光ミミズのはなし
 ◆コラム4 光るトビムシの謎
 第6章 ホタルのはなし―日本編―
 第7章 世界のホタル
 ◆コラム5 発光生物学の歴史

第III部 海の発光生物
 第8章 深海探査のはなし
 第9章 発光バクテリアのはなし
 第10章 光るクラゲのはなし
 第11章 富山湾のホタルイカのはなし
 ◆コラム6 台湾の発光生物
 第12章 ウミホタルのはなし
 第13章 海底で光る生き物のはなし
 第14章 光るサメのはなし
 ◆コラム7 半自力発光
 第15章 光る魚のはなし
 ◆コラム8 光る生き物を撮影してみよう!

執筆者紹介

◆編者
大場裕一 中部大学応用生物学部教授

◆執筆者(五十音順)
伊木思海 (株)島津アクセス
稲村 修 魚津水族館
内舩俊樹 横須賀市自然・人文博物館
大場裕一 中部大学応用生物学部
大平敦子 多摩六都科学館
蟹江秀星 産業技術総合研究所
川野敬介 豊田ホタルの里ミュージアム
佐藤圭一 沖縄美ら島財団総合研究所
デレン・T・シュルツ オーストリア・ウィーン大学
田中隼人 葛西臨海水族園
中森泰三 横浜国立大学大学院環境情報研究院
南條完知 東北大学大学院生命科学研究科
別所-上原 学 東北大学学際科学フロンティア研究所
ヴィクトール・B・マイヤーロホ オウル大学
方 華德 台湾・中國文化大學
水野雅玖 中部大学大学院応用生物学研究科
山下 崇 (株)サイエンスマスター
吉澤 晋 東京大学大気海洋研究所/大学院新領域創成科学研究科
サラ・ルイス 国際自然保護連合種の保存委員会/米国・タフツ大学名誉教授

関連情報

ジャンル一覧

ジャンル一覧

  • Facebook
  • Twitter
  • 「愛読者の声」 ご投稿はこちら 「愛読者の声」 ご投稿はこちら
  • EBSCO eBooks
  • eBook Library