付着生物のはなし ―生態・防除・環境変動・人との関わり―

日本付着生物学会(編)

日本付着生物学会(編)

定価 3,300 円(本体 3,000 円+税)

A5判/176ページ
刊行日:2024年11月01日
ISBN:978-4-254-17196-9 C3045

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内容紹介

フジツボや海藻,カキなど,海のいたるところでくっついている「付着生物」と呼ばれる生き物たちについて総合的に解説.付着生物の生態から,その防除,外来種をはじめとする環境問題との関連,付着・固着のしくみの利用までを扱う.コラムでは,水族館の展示など付着生物を身近に感じられる活動も紹介.

編集部から

〇「はじめに」より抜粋
 この本には,日本付着生物学会の50年間の活動の成果が集約されており,この本を読めば付着生物のすべてがわかる,と言っても過言ではない.多くの皆様にこの本を読んでいただき,付着生物の魅力や重要性,可能性を知っていただければ幸いである.

日本付着生物学会会長(2017年1月~2023年12月)河村知彦

〇「おわりに」より抜粋
 本書では,特定の生物種に偏らず幅広い付着生物種についての生態から防除技術,環境変動,養殖,文化的価値まで,さまざまな角度から見た“付着生物研究”の入門書を目指した.専門家はもちろんのこと,付着生物に興味のある一般市民から,これまで付着生物に関わりのなかった幅広い実務者・研究者が本書を手に取って下さることを期待している.本書では,分野・実績・肩書きを問わず,付着生物に魅せられて行う独自の取り組みを“付着生物研究”と定義したい.そのような各方面の付着生物研究の生の声を伝えるべく,普段は“研究者”と呼ばれていない方々にも多数ご執筆をお願いした.そのおかげで他に類を見ないバラエティに富んだ付着生物書を刊行することができたのではないかと編集者らは感じている.

編集委員 頼末武史・室﨑喬之・渡部裕美

目次

第 1 章 付着生物の多様性
 1.1 付着生物の基礎 野方靖行
 1.2 付着生物の多様性 広瀬雅人
 1.3 付着生物の働き 自見直人
 Column 1 スナギンチャク目の多様性と共生ライマー ジェイムズ デイビス・藤井琢磨・喜瀬浩輝
第 2 章 付着生物の幼生生態
 2.1 分散機構─プランクトン幼生分散と連結性─ 渡部裕美
 2.2 フジツボ類の着生誘起フェロモン 頼末武史
 2.3 付着生物の着生と光環境 金 禧珍・サトイト グレン
 Column 2 クラゲ類の生活史からみえてくること 三宅裕志
第 3 章 付着のしくみと付着防除技術
 3.1 化学と物理からみた付着のしくみ 眞山博幸
 3.2 フジツボキプリス幼生の付着力とその測定方法 小林元康
 3.3 生物表面の特異な機能を模倣した付着抑制材料の開発─身の回りから海洋まで─ 穂積 篤
 3.4 付着阻害物質 沖野龍文
 3.5 付着生物と船底塗料の働き 永瀬靖久
 Column 3 生態防汚とバイオミメティクス 室﨑喬之
第 4 章 付着生物と人為的影響・環境変動
 4.1 バラスト水の管理 大村卓朗
 4.2 外来付着生物・ミドリイガイの国内分布特性 植田育男
 4.3 環境変動と付着生物 和田茂樹
 4.4 東日本大震災と付着生物 藤井豊展
第 5 章 付着生物の利用
 5.1 カキ養殖の歴史と近年の取組み 水野健一郎
 5.2 カキ幼生の AI 画像検出 柳川敏治・神谷享子・林 義雄
 5.3 フジツボ類の食材利用の現状と養殖への挑戦 鶴見浩一郎
 Column 4 付着生物を見て知ってもらうために─水族館の展示の工夫と発信─ 市川隼平
 Column 5 フジツボ地位向上委員会 井上智子
 Column 6 世界初! フジツボコンサートツアー 伏見香蓮
お わ り に 頼末武史・室﨑喬之・渡部裕美
索 引

執筆者紹介

■編集委員
頼末武史 兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
     兵庫県立人と自然の博物館
室﨑喬之 旭川医科大学 一般教育(化学)
渡部裕美 国立研究開発法人海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門

■執筆者(五十音順)
市川隼平 名古屋港水族館(公益財団法人名古屋みなと振興財団)
井上智子 海遊館
植田育男 神奈川大学 理学部
大村卓朗 東京海洋大学 海洋環境科学部門
沖野龍文 北海道大学大学院 地球環境科学研究院
神谷享子 株式会社セシルリサーチ
河村知彦 東京大学 大気海洋研究所
喜瀬浩輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター
金 禧珍 長崎大学大学院 総合生産科学研究科
小林元康 工学院大学 先進工学部
サトイト グレン 長崎大学大学院 総合生産科学研究科
自見直人 名古屋大学 附属臨海実験所
鶴見浩一郎 八戸学院大学 地域経営学部
永瀬靖久 日本ペイントマリン株式会社
野方靖行 一般財団法人電力中央研究所
林 義雄 株式会社セシルリサーチ
広瀬雅人 北里大学 海洋生命科学部
藤井琢磨 日本大学 生物資源科学部
藤井豊展 東北大学大学院 農学研究科
伏見香蓮 一般社団法人BLUE CARBON SOUND
穂積 篤 国立研究開発法人産業技術総合研究所 極限機能材料研究部門
眞山博幸 旭川医科大学 一般教育(化学)
水野健一郎 広島県立総合技術研究所 水産海洋技術センター
三宅裕志 北里大学 海洋生命科学部
室﨑喬之 旭川医科大学 一般教育(化学)
柳川敏治 中国電力株式会社
頼末武史 兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
     兵庫県立人と自然の博物館
ライマー ジェイムズ デイビス 琉球大学 理学部
和田茂樹 筑波大学 下田臨海実験センター(現 広島大学 生物生産学部)
渡部裕美 国立研究開発法人海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門

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