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内容紹介
堆積学・地質学・花粉分析・動物学など理系諸学と,考古学・歴史学など人文系諸学の協同作業による,自然の中に刻まれた人類史を解説する試み。基礎編で理論面を解説し,通史編で,日本を中心に具体的に成果を披露
編集部から
目次
I. 基 礎 編
1. 自然史と人類史
1.1 自然の階層構造と人類史
自然の段層構造
1.2 人類の環境適応と技術
人類進化の段階と系統樹/環境適応と居住域の拡大
1.3 環境・技術・人類
2. 堆積作用と環境
2.1 堆積作用と堆積物
環境変動の高精度記録としての湖沼堆積物/天然の時計としての湖沼年縞
堆積物/天然の寒暖計としての風成塵鉱物―日本海深海堆積物を例として―/
風成塵変動からみた過去2000年間のグローバルな気候変動―水月湖―/
水月湖における過去8830年間の海水準変動と地震活動/水月湖における過去
2000年間の降水量変動/水月湖の湖沼年縞堆積物から求められた気候・海水
準変動と地震活動の周期性
2.2 堆積物から読み取れた自然環境変動と人間活動の関係―気候・海水準変動と
縄文文化―
3. 食糧資源環境と人類
3.1 食糧資源環境と人類
生業動態の考え方/古人口動態/パレオバイオマス分析/捕獲圧分析
3.2 食性分析
アイソトープ分析/脂質分析/σ13C測定による炭水化物資源の推定
4. 遺跡形成論
4.1 地質層序と考古層位学
4.2 遺跡の形成・変形・破壊
4.3 タフォノミーと考古学
II. 通 史 編
1. グローバルな自然環境変化と人類進化の関係―人類進化のトリガーは何か?
マントルプリュームかヒマラヤか
1.1 現在のモンスーン活動とヒマラヤ・チベット山塊
l.2 陸上(レス・古土壌)堆積物分析による乾湿変動の検出
1.3 日本海,地中海の海洋堆積物分析による乾湿変動の検出
1.4 第四紀における氷期―間氷期サイクルにおけるヒマラヤ・チベット山塊の役割
2. 狩猟・採集民は環境の影響の一方的な受け手か
2.1 連動型の狩猟・採集と環境―旧石器時代―
日本列島における人類の出現/原人のキャンプ地/狩猟解体場と集落
3. 後氷期の環境の多様化と定住社会の工夫
3.1 縄文人の環境適応―森の時代の始まりと列島住居者の工夫―
縄文時代とは/縄文時代の環境情報―環境の変容過程―/微細空間の環境情報と
遺跡資料の統一/完新世の人類-環境関係/縄文時代の時間軸の整理/環境問題
の始まり
3.2 人口増加と捕獲圧の増大―関東地方の縄文後晩期の採集狩猟民と環境との関係
4. 農耕の出現と環境
4.1 東アジアの農耕の日本列島への伝播と受容
8000~5000年前の人類の植物利用/農耕の技術と社会計画/5000年前以降の中国
黄河・長江流域の農業社会/朝鮮半島と日本列島の農耕技術
4.2 大阪平野の形成と弥生時代農耕集落の展開
河内平野の形成/生態系の情報/河内平野遺跡群の各時代別立地/和泉海岸平野
の遺跡群/和泉海岸平野の弥生人と海産資源獲得の分業化
III. 環境と歴史
1. 環境という用語とその条件
1.1 環境とは
1.2 管理的な面からのアプローチ
2. 研究精度の向上と人間―環境関係の解読―
2.1 渤海国の盛衰から読み取ることができる気候変動と白頭山の噴火
渤海使の往来と気候・海水準変動/渤海国の盛衰と白頭山噴火との関連―
従来の説明―/小川原湖の年縞堆積物が語る白頭山噴火の真実/十和田湖の
大噴火―十和田a火山灰―/白頭山の大噴火は渤海国の滅亡に手をかしたか
2.2 小氷期の気候変動や諏訪高島城の築城を記録した諏訪湖の湖底堆積物
3. 環境と歴史からみる「地球温暖化」
3.1 地球温暖化予測
地球温暖化にともなって生じる自然環境変化にはどのようなものがあるか/
過去に生じた突然かつ急激な地球温暖化はいかなるものであったか/将来の地球
温暖化予測とそれに対する人類社会の対応
4. 用語解説