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内容紹介
化学の立場を通して環境問題をとらえ,これを理解し,解決する,との観点から発想し,約280のキーワードについて環境全般を概観しつつ理解できるよう解説。研究者・技術者・学生さらには一般読者にとって役立つ必携書。〔内容〕地球のシステムと環境問題/資源・エネルギーと環境/大気環境と化学/水・土壌環境と化学/生物環境と化学/生活環境と化学/化学物質の安全性・リスクと化学/環境保全への取組みと化学/グリーンケミストリー/廃棄物とリサイクル。
編集部から
環境に関する書籍は多数あります。本書は,『化学の立場で環境問題の全体を正しく理解し,さらに,その解決に本当に役立つ化学技術を創出する』との立場で環境関連の事項を簡潔にまとめた事典です。現代の環境問題は,資源,エネルギーそして人口,食糧など人間活動と深く関わる難問であり,簡単には解決できません。しかし,その解決策をなんとか見出し,豊かで持続可能な社会を実現することが強く望まれています。しかし,問題の正しい理解なしに安易な対策を講じると,かえって事態を悪化させる可能性が高くなってしまいます。
本事典の特徴は,(1)問題提起にとどまらずその解決策にまで踏み込んで前向きに記述するよう心がけたことと,(2)問題の全体を把握できるように配慮したことにあります。化学の立場からまとめることの意義は,物質の性質や変化を扱う化学・化学技術の視点が環境問題を理解し対策を立てる上で欠かすことができないからです。
現代の環境問題は多くの事象が複雑に絡み合って生じています。したがって,全体を定量的に見なければ,正しい理解もできないし,解決策も見出すことができません。本事典では,広く長い視野に立って約280項目を選択し,環境問題の全体像と将来の見通しを見誤らないよう配慮するとともに,客観的な事実,データを重視しました。項目については,「地球環境問題」から「暮らしの中の化学品」まで幅広くカバーしています。小項目形式の字句説明ではなく,中項目の解説方式にしたのも全体を俯瞰したいとの趣旨によるものです。興味のある項目からぜひご一読ください。(星)
目次
Ⅰ. 地球のシステムと環境問題
1. 地球システム――エネルギーとエントロピー
2. 地球と生物の歴史
3. 人類の歴史
4. 人口問題
5. 食料問題
6. 地球環境問題
7. 産業活動と環境
8. 成長の限界
9. 持続的社会
10. 国連人間環境会議
11. リオ宣言とアジェンダ21
12. 開発途上国における環境問題と南北協力
13. 環境負荷と環境リスク
14. 環境・経済統合会計
15. 環境マネジメントシステムと環境マネジメントシステム監査
16. ライフサイクルアセスメント
17. 費用対効果分析
18. 環境効率
19. 環境会計
20. 環境と消費者行動,ライフスタイル
Ⅱ. 資源・エネルギーと環境
21. エネルギー問題
22. 一次エネルギーと二次エネルギー
23. 化石エネルギー
24. 化石燃料のクリーン化技術
25. 原子力エネルギー
26. 再生可能エネルギー
27. 太陽エネルギー
28. 風力エネルギー
29. バイオマス資源
30. バイオフューエル
31. 水素エネルギー
32. エネルギーの高効率利用――大規模集中型発電
33. エネルギーの高効率利用――民生分野
34. エネルギーの高効率利用――運輸分野
35. 燃料電池
36. 超電導と環境化学
37. ソフトエネルギーパス
38. 鉱物資源
39. 鉱物資源の利用と環境
40. 鉄
41. 非鉄金属
42. 貴金属と希少金属
Ⅲ. 大気環境と化学
43. 大気の組成
44. 成層圏の化学
45. 対流圏の化学
46. 大気環境問題の変遷
47. ロンドンスモッグ事件――石炭燃焼による大気汚染
48. 四日市ぜん息
49. 鉛汚染――牛込柳町鉛中毒事件
50. ロスアンジェルス事件,東京光化学スモッグ事件
51. 窒素酸化物による汚染
52. 粒子状物質による汚染
53. 有害大気汚染物質による汚染
54. 放射線と大気環境
55. チェルノブイリ原発事故
56. 酸性雨――国境を越える環境問題
57. 森が枯れる,魚が消える――酸性雨の生態系への影響
58. 東アジアにおける硫黄酸化物の長距離輸送
59. フロンによる成層圏のオゾン層破壊
60. 南極オゾンホール
61. 紫外線の健康・生態系への影響
62. 地球は温暖化するか
63. 気温の変動
64. 温室効果ガス
65. 日傘効果
66. IPCCレポート
67. 異常気象
Ⅳ. 水・土壌環境と化学
68. 水の循環
69. 水資源
70. 水の利用
71. 水の環境を守る
72. 足尾鉱毒事件
73. 水俣病
74. イタイイタイ病
75. 田子の浦ヘドロ公害
76. 瀬戸内海に赤潮の発生
77. 青 潮
78. 土壌・地下水環境を守る
79. 土壌・地下水汚染メカニズム
80. 重金属による土壌・地下水汚染
81. 有機塩素化合物による土壌・地下水汚染
82. 石油系燃料による土壌・地下水汚染
83. PCBによる土壌・底質汚染
84. 海洋汚染
85. ナホトカ号油流出事故
86. 船底塗料による海洋汚染
87. 海洋での汚染物質蓄積
Ⅴ. 生物環境と化学
88. 農業と環境
89. 農業の多面的機能
90. 農業による温室効果ガスの発生と収支
91. 温室効果ガスの発生抑制技術
92. オゾン層破壊と作物生産
93. 酸性雨
94. 砂漠化
95. 熱帯林,焼畑農業
96. 土地利用の変化
97. 有機農業と持続可能な環境保全型農業
98. 品種改良――緑の革命と遺伝子組換え
99. 石油タンパク
100. 森林・林業と環境保全
101. 水産資源と農林業
102. 窒素循環と農林業
103. 肥料産業
104. 化学肥料の種類
105. 肥料の効果
106. 硝酸性窒素などによる水域環境の汚染
107. 有機質肥料の種類と効果
108. 土壌改良資材
109. 農薬の必要性
110. 殺虫剤
111. 殺菌剤
112. 除草剤・植物成長調整剤
113. 農薬の薬害と抵抗性
114. 農薬の生物影響
115. 農薬の残留
116. 農業とダイオキシン類
117. POPsの生物濃縮
118. 重金属の農業環境汚染
119. カドミウムの作物汚染
120. アレロパシー
121. フェロモン
122. 森林浴
Ⅵ. 生活環境と化学
123. 日常生活における環境・安全と化学物質
124. 日常生活のライフサイクルエネルギー
125. 日常生活がもたらす環境負荷とその低減策
126. 屋内環境汚染
127. シックハウス症候群
128. ホルムアルデヒドなどの発生源
129. 化学物質過敏症
130. アスベスト
131. 喫 煙
132. 暴露限界値
133. 臭 気
134. 特定悪臭物質
135. 空気清浄機
136. 浄水プロセス
137. 水道水の基準
138. トリハロメタン
139. 浄水器
140. ミネラルウォーター
141. 生活排水とその処理
142. 食品の安全
143. 食中毒
144. 食品添加物
145. 遺伝子組換え食品
146. 牛海綿状脳症
147. 家庭で使う化学薬品
148. 接着剤
149. 塗 料
150. かび取り剤,防かび剤
151. 家庭用殺菌剤,除菌剤
152. 家庭用殺虫剤,防虫剤
153. 洗 剤
154. 化粧品
155. 生活系ごみ
156. ごみの分別と収集
157. コンポスト
158. し尿処理(浄化槽)
159. 騒 音
160. 電磁波
Ⅶ. 化学物質の安全性・リスクと化学
161. 化学物質問題
162. 化学物質の安全性
163. 化学物質の法規制と自主管理
164. 化学物質のリスク
165. 化学物質のリスク管理
166. 化学物質のリスク評価
167. 化学物質のリスク削減
168. リスクコミュニケーション
169. 化学物質のリスク情報データベース
170. 化学物質の環境動態
171. 化学物質への暴露
172. 毒と薬――用量-反応曲線
173. 化学物質の毒性
174. 毒性試験
175. 構造活性相関
176. 発がん性
177. 生態系への影響
178. 毒性およびリスク評価の指標
179. 生涯リスク
180. 閾値
181. 毒性等価係数,毒性等量
182. 耐容1日摂取量
183. 化学物質の環境残留性
184. POPs
185. PCB
186. 内分泌かく乱化学物質
187. PRTRの対象物質
188. REACH(欧州化学品規制)
189. 危険有害性化学物質
190. 危険物
191. 毒 物
192. 化学工場の事故
193. 安全衛生管理システム
194. 警報システム
195. 放射性物質の安全管理
196. 放射性物質の事故
Ⅷ. 環境の保全と化学
197. 環境のモニタリング
198. 発生源の監視と測定
199. 大気環境のモニタリング
200. 水・土壌環境のモニタリング
201. 地球環境のモニタリング
202. 環境対策の考え方
203. 大気環境の保全
204. ばいじんを減らす
205. 硫黄酸化物を減らす
206. NOxを減らす――固定発生源
207. 有害大気汚染物質を減らす
208. VOC(揮発性有機化合物)を減らす
209. ダイオキシン類の排出抑制
210. ガソリン・LPG自動車の排ガス浄化
211. ディーゼルエンジン自動車の排ガス浄化
212. 光触媒による汚染大気環境の修復と浄化
213. フロン類の回収と破壊
214. 地球温暖化への対応と対策
215. 水環境の保全
216. 産業排水の浄化
217. 水汚濁物質を減らす――物理化学的方法
218. 水汚濁物質を減らす――生物的方法
219. 下水の処理
220. し尿の処理
221. 水のリサイクル
222. 汚染水環境を浄化する
223. 海洋汚染の対策
224. 土壌・地下水汚染の対策
225. 汚染土壌・地下水の原位置での修復・浄化
226. 廃棄物処分場浸出水の浄化
Ⅸ. グリーンケミストリー
227. グリーンケミストリー
228. BAT
229. レスポンシブル・ケア活動
230. CSR;企業の社会的責任
231. グリーンケミストリーの12箇条
232. GC/GSC評価手法
233. 原子効率
234. Eファクター
235. 資源生産性
236. GSCネットワーク
237. グリーン合成
238. ノンハロゲンプロセス
239. グリーン原料
240. 再生可能資源
241. グリーン製品
242. エコマテリアル
243. マイクロリアクター
244. マイクロスケールケミストリー
245. 超臨界流体
246. イオン液体
247. 無溶媒合成(固相合成)
248. 異相系反応
249. 固定化触媒・固定化試薬
250. 固体触媒
251. バイオ触媒
252. ワンポット合成
253. 生分解性プラスチック
254. 非臭素系難燃剤
255. 水系塗料
256. グリーン可塑剤
Ⅹ. 廃棄物と資源循環
257. 循環型社会
258. ゼロエミッション
259. インバースマニュファクチャリング
260. 3R
261. わが国の物質収支
262. 一般廃棄物
263. 産業廃棄物
264. 豊島事件
265. 放射性廃棄物とその処理・処分
266. 廃棄物の処理
267. 静脈物流システム
268. 廃棄物の焼却処理
269. PCBの処理
270. 廃棄物の最終処分(埋立て)
271. 廃棄物の資源化
272. RDF
273. リサイクル
274. リサイクルとエネルギー
275. 熱回収
276. マテリアルリサイクル
277. ケミカルリサイクル
278. プラスチック
279. 金 属
280. 容器包装リサイクル
281. 家電リサイクル
282. 自動車リサイクル
283. エコセメント
付録:環境関連の法律,制度の情報
Ⅰ. 環境関連法
Ⅱ. 環境マネジメント国際規格ISO 14000 シリーズ
索引
執筆者紹介
【編集者】
指宿堯嗣,上路雅子,御園生誠
【執筆者】
荒川いずみ,安藤生大,碇屋隆雄,市川昌彦,指宿堯嗣,今井健之,入江建久,岩崎好陽,上路雅子,内野圭司,上沢正志,遠藤小太郎,遠藤茂寿,大井川淳子,大谷英雄,大寺純蔵,大矢仁史,大和田秀二,大和田野芳郎,小川芳樹,荻野和子,奥野勉,長田守弘,小澤寿輔,小野信一,小野真理子,小渕存,片谷教孝,加藤順子,金田清臣,神本正行,河野正男,川辺能成,菊池昭二美,北爪智哉,北脇秀敏,久司佳彦,神山宣彦,國部克彦,小林幹男,小林康男,駒井武,小山修,斎藤郁夫,齊藤敬三,斎藤穂高,坂倉俊康,坂下章,坂本宏,櫻谷祐企,佐合純造,寒川強,重倉光彦,澁谷榮一,杉田創,諏訪裕一,千田哲也,田尾博明,髙田礼子,高橋信行,高橋幸雄,武内洋,竹内正雄,竹内美緒,武田信生,辰巳憲司,辰巳敬,田中幹也,谷川昇,田原聖隆,玉出善紀,戸田芙三夫,富永健,冨永衞,内藤寿英,中田喜三郎,永淵修,中村聡,成田弘一,難波征太郎,野内勇,長谷川秀一,原田幸明,藤吉秀昭,古川憲治,古川路明,堀添浩俊,本間知夫,松田臣平,松宮煇,松村治夫,松本英之,御園生誠,三野禎男,宮崎章,村澤香織,室田泰弘,山川哲,山岸昻夫,山崎裕文,山﨑正和,山本晋,横山織江,横山伸也,鷲田豊明
(五十音順)