地盤環境工学ハンドブック

嘉門 雅史日下部 治西垣 誠(編)

嘉門 雅史日下部 治西垣 誠(編)

定価 25,300 円(本体 23,000 円+税)

B5判/568ページ
刊行日:2007年09月25日
ISBN:978-4-254-26152-3 C3051

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内容紹介

「安全」「防災」がこれからの時代のキーワードである。本書は前半で基礎的知識を説明したあと,緑地・生態系・景観・耐震・耐振・道路・インフラ・水環境・土壌汚染・液状化・廃棄物など,地盤と環境との関連を体系的に解説。〔内容〕地盤を巡る環境問題/地球環境の保全/地盤の基礎知識/地盤情報の調査/地下空間環境の活用/地盤環境災害/建設工事に伴う地盤環境問題/地盤の汚染と対策/建設発生土と廃棄物/廃棄物の最終処分と埋め立て地盤/水域の地盤環境/付録

編集部から

 社会の動きに併せて組織が変更されるということは当たり前の話であろう。大学においても,土木工学科という名称が東大では社会(系)基盤工学科,総編集の嘉門先生の所属する京大では地球環境学舎となるなど大きな変革があった。これらも一時の混乱を経てようやく定着してきたようだ(旧学科名で郵便物を投函したほうが新学科名より1日早く先生の手元に届くという冗談もあったが)。
 同様に,本書の執筆者の中核となっている学会もしばらく前に土質力学会から地盤工学会へと名称変更した。新潟県中越沖地震でも土木学会と地盤工学会が合同で調査したという記事を読んだ人も多いのではないだろうか。
 さて,「地盤環境工学」とは,地盤沈下・土砂災害・地盤汚染・廃棄物などの問題を“環境という観点を交えて地盤=土質面からアプローチして研究する学問”ということに尽きるだろう。
 もちろん現代的な問題すなわち駅地下・トンネルなどの地下空間環境や海岸地域の有効活用,飛行場建設などのポジティブな開発に関しても,本書で示す学問的・技術的な体系化の提起は社会基盤構築として大変重要な示唆を与えている。
 本書は土木系の大形企画を計画するなかで生まれたのだが,総編集の嘉門先生と相談するに際しては京大や社内会議室以外では,むしろ霞ヶ関の国交省でお会いすることが多かった。これも土木というものが国土の保全という観点から「国の政策」と不可分の関連性があるからだろう。
 産官学の専門家60名による本書は上記のように大変タイムリーな企画・刊行であると自負している。DMによる事前宣伝でもかなりの手ごたえを感じているので,早期の重版を希望している。(森田)

目次

基礎編
1. 地盤を巡る環境問題
 1.1 地球環境と地域環境
 1.2 生態環境と地盤
 1.3 地盤環境工学の定義と対象
2. 地球環境の保全
 2.1 地盤にかかわる地球環境問題
 2.2 土壌侵食
 2.3 塩類化
 2.4 酸性雨と地盤
3. 地盤の基礎知識
 3.1 地形・地質と鉱物特性
 3.2 気象・流域水象・海象と地盤
 3.3 締固めと不飽和特性
 3.4 地盤中の流れと物質移動
 3.5 地盤の動的特性
 3.6 地盤の変形と安定
4. 地盤環境情報の調査
 4.1 はじめに
 4.2 資料等調査
 4.3 現地地盤調査
 4.4 室内試験
 4.5 モニタリング
 4.6 リモートセンシング
 4.7 環境調査
 4.8 気象水文調査
 4.9 地盤災害調査

応用編
5. 地下空間環境の活用
 5.1 都市における地下空間環境の創造と活用
 5.2 トンネルとしての地下空間
 5.3 エネルギー貯蔵・備蓄施設としての地下空間活用
 5.4 放射性廃棄物処分における地下利用
6. 地盤環境災害
 6.1 広域の地盤沈下
 6.2 土砂災害・斜面の安定
 6.3 地盤振動(交通)と対策
 6.4 地盤震動(地震)と対策
7. 建設工事に伴う地盤環境問題
 7.1 はじめに
 7.2 建設工事における周辺地盤の沈下と変形
 7.3 トンネル掘削による地下水問題
 7.4 地下構造物による地下水流動阻害
 7.5 建設工事による地下水汚染
 7.6 酸欠空気と地中ガス(可燃性ガス)
 7.7 建設工事の騒音,振動,大気汚染,濁水
 7.8 盛土,切土斜面の植生
 7.9 そのほかの問題と対策
8. 地盤の汚染と対策
 8.1 地盤汚染の歴史的経緯
 8.2 重金属汚染と対策
 8.3 揮発性有機化合物汚染と対策
 8.4 ダイオキシン類汚染と対策
 8.5 油含有土壌による油汚染問題とその対応
 8.6 硝酸性窒素の汚染と対策
 8.7 放射性物質による汚染
9. 建設発生土と廃棄物
 9.1 資源循環型社会
 9.2 建設発生土などの有効利用・リサイクル
 9.3 廃棄物の有効利用・リサイクル
10. 廃棄物の最終処分と埋立地盤
 10.1 廃棄物の最終処分システム
 10.2 廃棄物最終処分場の遮水構造
 10.3 廃棄物最終処分場の修復と再生
 10.4 廃棄物埋立地盤と跡地利用
11. 水域の地盤環境
 11.1 水域の水と地盤が果たす環境への貢献
 11.2 水域,水際線の水環境と地盤環境
 11.3 水域の開発利用と環境
 11.4 水域の環境保全のコンセプトと保全のシステム

付   録
 1. 地盤環境工学に関連するわが国の法令
 2. 土壌汚染に関する外国の法令の例
 3. 地盤環境工学に関する環境基準
 4. 地盤環境工学に関する略語

索   引

執筆者紹介

【編集者】
嘉門雅史,日下部治,西垣誠
【執筆者(執筆順)】
嘉門雅史,森本幸裕,真常仁志,小崎隆,勝見武,北川隆司,山下隆男,向後雄二,小峯秀雄,塚本良道,竹村次朗,平山光信,阿南修司,稲垣秀輝,小田部雄二,進士喜英,関谷堅二,中村裕昭,井上誠,中島誠,菅原紀明,奥村興平,近藤昭彦,大里重人,深見和彦,山本幸次,花村哲也,亀村勝美,森孝之,高橋美昭,関口秀雄,中川一,芦谷公稔,井合進,西垣誠,入江彰,小松満,高坂信章,坪田邦治,中山俊雄,萩森健治,津下圭吾,平田健正,白鳥寿一,今村聡,保賀康史,峠和男,井伊博行,馬原保典,阪本廣行,堀内澄夫,古市徹,川口光雄,石井一英,寺師昌明,古川恵太,東山茂,中瀬浩太,辻博和

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