化学生態学 ―昆虫のケミカルコミュニケーションを中心に―

中牟田 潔(編)/井上 貴斗手林 慎一野下 浩二野村 昌史北條 賢望月 文昭森 哲森 直樹(著)

中牟田 潔(編)/井上 貴斗手林 慎一野下 浩二野村 昌史北條 賢望月 文昭森 哲森 直樹(著)

定価 3,300 円(本体 3,000 円+税)

A5判/160ページ
刊行日:2024年10月01日
ISBN:978-4-254-42049-4 C3061

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内容紹介

化学的情報物質,いわゆる「フェロモン」の利用は昆虫で特に発達している.昆虫を中心に動物の様々な化学的コミュニケーションの仕組みを説明するとともに,農学においてそれらをどのように利用できるかを解説するテキスト.

編集部から

目次

1.化学生態学とは 〔中牟田 潔〕
 1.1 種内相互作用を仲介する化学的情報
 1.2 種間相互作用を仲介する化学的情報
2.セミオケミカル 〔中牟田 潔〕
 2.1 フェロモン
  2.1.1 性フェロモン
  2.1.2 集合フェロモン
  2.1.3 警報フェロモン
  2.1.4 道しるべフェロモン
  2.1.5 密度調整フェロモン
  2.1.6 給餌フェロモン
 2.2 シグネチャーミックス
  2.2.1 社会性昆虫の血縁認識
  2.2.2 アメリカンロブスターの個体認識
 2.3 アレロケミカル
  2.3.1 シノモン
  2.3.2 アロモン
  2.3.3 カイロモン
3.植食性昆虫の寄主選択 〔手林慎一〕
 3.1 植食性昆虫はどのように寄主植物を選ぶのか?
  3.1.1 昆虫の寄主選択のプロセス
  3.1.2 寄主選択における物理因子と化学因子
  3.1.3 植物の代謝産物と寄主選択
 3.2 寄主選択を促進する化学因子
  3.2.1 誘引物質
  3.2.2 産卵刺激物質
  3.2.3 摂食刺激物質
 3.3 寄主選択を阻害する物質
  3.3.1 忌避物質
  3.3.2 産卵阻害物質
  3.3.3 摂食阻害物質
  3.3.4 成長阻害物質
 3.4 様々な昆虫における寄主選択
  3.4.1 モンシロチョウの産卵:正と負の刺激のはざまで
  3.4.2 イボタガのイボタへの適応:量的防御の量的克服
  3.4.3 アズキゾウムシの産卵戦略と天敵
 3.5 植食性昆虫と植物の共進化
  3.5.1 ランの香りとシタバチ:誘引因子による共進化
  3.5.2 マダラチョウとキョウチクトウ科:進化的軍拡競走
  3.5.3 ホストシフトと化学物質:アゲハの食草進化
4. ケミカルシグナルを介した植物-植食者-天敵の相互作用 〔野下浩二〕
 4.1 植物の防御戦略:恒常的防御と誘導的防御
 4.2 植物における昆虫食害の認識とその伝達
  4.2.1 エリシター:植物の防御応答を誘導する植食性昆虫由来成分
   a.ボリシチン
   b.インセプチン
   c.ケフェリン
  4.2.2 シグナル伝達とホルモン
  4.2.3 昆虫食害により誘導される植物成分
 4.3 植食性昆虫の食害で誘導される揮発性物質 HIPVs とその生態学的役割
  4.3.1 HIPVs の種類
  4.3.2 HIPVs を介した植物-植食性昆虫-天敵の三者関係
  4.3.3 HIPVs の植食性昆虫への影響
  4.3.4 HIPVs と植物間コミュニケーション
5.社会性昆虫のケミカルコミュニケーション 〔北條 賢〕
 5.1 分業と社会組織化
 5.2 集団行動とフェロモンコミュニケーション
  5.2.1 動員行動
   a.資源利用の動機づけ
   b.資源へのナビゲーション
  5.2.2 警報行動
 5.3 体表炭化水素
  5.3.1 巣仲間認識
 5.4 分業とフェロモンコミュニケーション
  5.4.1 繁殖分業
  5.4.2 タスク認識
  5.4.3 幼虫フェロモンと分業
  5.4.4 警察行動
 5.5 栄養交換
 5.6 種間共生
  5.6.1 栄養報酬
  5.6.2 誘引
  5.6.3 学習と認知
  5.6.4 行動操作
 5.7 展望:社会性昆虫の化学生態学
6.脊椎動物の防御物質を巡るケミカルエコロジー 〔井上貴斗・森 哲・森直樹〕
 6.1 はじめに-毒を巡るはなし-
 6.2 ヤドクガエル(両生類)のエサ由来毒素・アルカロイド
  6.2.1 ヤドクガエル科のカエルとそのアルカロイド
  6.2.2 ヤドクガエルのアルカロイドの起源
  6.2.3 ヤドクガエルにおけるアルカロイド耐性
  6.2.4 ヤドクガエルで見られる幼体への毒素供給
 6.3 コモンガータースネークの毒素・テトロドトキシン類
 6.4 ヤマカガシの毒素・ブファジエノライド類
  6.4.1 日本のヘビ,ヤマカガシとブファジエノライド類
  6.4.2 ヤマカガシにおけるBD 類への耐性,BD 類の変換・蓄積
  6.4.3 海外のヤマカガシ属ヘビ
 6.5 鳥類のエサ由来毒素・バトラコトキシン類
7.哺乳類の性フェロモン 〔中牟田 潔〕
8. ケミカルコミュニケーションの操作による害虫被害制御 
 8.1 性フェロモンの利用 〔望月文昭〕
  8.1.1 モニタリング(発生予察)
  8.1.2 大量誘殺
  8.1.3 アトラクト&キル
  8.1.4 交信かく乱
  8.1.5 わが国における実用例
   a.ハマキムシ類 〔望月文昭〕
   b.ウワバ類 〔野村昌史〕
   c.ヒメボクトウ 〔中牟田 潔〕
   d.ケブカアカチャコガネ 〔望月文昭〕
 8.2 寄主選択物質を利用した害虫防除 〔手林慎一〕
  8.2.1 タバコとニコチン
  8.2.2 除虫菊と蚊取り線香
  8.2.3 バッタも食べないインドセンダン
  8.2.4 野生植物の野菜化と品種改良
 8.3 プッシュ-プル法 〔野下浩二〕
 8.4 天敵の誘引 〔中牟田 潔〕
索引

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