実験経済学 ―研究と実践の手引き―

N. JacquemetO. L’Haridon(著)/川越 敏司(訳)

N. JacquemetO. L’Haridon(著)/川越 敏司(訳)

定価 9,900 円(本体 9,000 円+税)

A5判/528ページ
刊行日:2024年06月01日
ISBN:978-4-254-54006-2 C3033

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内容紹介

Experimental Economics: Methods and Applicationsの全訳.行動経済学でも重要な研究手法の実際の手順や統計解析を実用的かつ平易に解説.〔内容〕実験経済学への招待/経済学における実験の必要性/いかに?実験室実験の実際/何のための実験か?実験室実験が教えてくれること

編集部から

Experimental Economics: Methods and Applicationsの全訳.
経済学における研究手法として重要性を増しており,また行動経済学でも重要な実験経済学の全般を学べる決定版テキスト
実験手法になじみの薄い研究者や学生も読みこなせるよう,平易に解説
実験の計画から実施,データの分析に至るまでの一連のプロセスを詳述
方法論的な議論や数多くの実験事例も紹介

目次

I 実験経済学への招待
1. 経済学における実験の始まり
 1.1 長年にわたるまことに遺憾な実験実施不可能性という信念の終焉
 1.2 なぜそのような変化が生じたのか?初期の2つの結果
  1.2.1 競争市場はいかに機能するか?
  1.2.2 リスク下の選択における選択の不整合性
  1.2.3 なぜこのような急速で突然の変化が生じたのか?
 1.3 研究課題:3つの例
  1.3.1 ナッシュ均衡とパレート効率性
  1.3.2 単純な逐次手番2人ゲーム
  1.3.3 私的情報の利用
  1.3.4 事例を超えて:実験経済学と行動
 1.4 現代の実験経済学:あらゆる新規参入者が知っておくべきこと
  1.4.1 知っておくべきこと1:ミクロ経済理論と意思決定科学
  1.4.2 知っておくべきこと2:ゲームと意思決定の枠組み
  1.4.3 知っておくべきこと3:応用研究領域
  1.4.4 知っておくべきこと4:方法論上の問題:本書の概要
 要約

2. 実験室実験:その概観
 2.1 実験
 2.2 実験者の役割:研究対象のゲーム
  2.2.1 私的価値オークションにおける2位価格オークションの理論的性質
  2.2.2 なぜ実験オークションは重要なのか
 2.3 私的価値・2位価格オークションの実験
 2.4 ケース・スタディ:仮想的選択に伴うバイアスを軽減するための実験手法
  2.4.1 事後的な手法
  2.4.2 事前の手法
  2.4.3 チープ・トーク台本
 要約

II 経済学における実験の必要性
3. 実証経済学における統制実験の必要性
 3.1 データ分析に対する計量経済学的アプローチ
  3.1.1 データ分析における2つの推定問題
  3.1.2 計量経済学によるこれらの課題への取り組み:データ生成プロセスという考え方
  3.1.3 例示:OLS推定値の推測上の性質
 3.2 処理の因果効果に関する推定
  3.2.1 変化の因果効果
  3.2.2 観察データの内容
  3.2.3 処理効果のパラメータ
 3.3 観察データに基づく識別
  3.3.1 クロス・セクション推定値
  3.3.2 クロス・セクション推定値に関する仮定の識別
 3.4 統制実験に基づく推測
  3.4.1 ランダム化を通じた識別
  3.4.2 コントロール変数を通じた識別
  3.4.3 統制によって拡張された推測
  3.4.4 ケース・スタディ:トーナメントのインセンティブ効果:実験室からの証拠
 3.5 実験室からフィールドへ:経済学における統制実験の概観
  3.5.1 フィールド実験に関する多くの形態
  3.5.2 実験室実験とフィールド実験との選択ガイド
 要約

4. 経済科学における実験手法の必要性
 4.1 実験室実験が目指していること
 4.2 実験,理論,および現実:いかにして実験はその目的を達成するのか
  4.2.1 現実とは何か?
  4.2.2 モデルとは何か?
  4.2.3 実験とは何か?
 4.3 ケース・スタディ:追加的な統制と尺度で理解を深化させる:独裁者ゲーム
  4.3.1 追加的な入力1:社会的距離
  4.3.2 追加的な入力2:獲得金額
  4.3.3 追加的な入力3:プレーヤーの立場に関する所有権
  4.3.4 追加的な尺度:反応時間
 4.4 実験はいかに理論と相互作用するか:モデルの検証
  4.4.1 理論の検証
  4.4.2 ケース・スタディ:談合理論の経験的内容
  4.4.3 主要な課題:内的妥当性
 4.5 実験はいかに現実と相互作用するか:事実の探求
  4.5.1 主要な課題:外的妥当性
  4.5.2 ケース・スタディ:フィールドにおける互恵性モデルの検証
 要約

III 実験室実験の実際
5. 実験の計画:内的妥当性の問題
 5.1 実験とは何か?それはどのようにして内的妥当性とつながっているのか?
  5.1.1 「ミクロ経済システム」としての実験:実験の構成要素
  5.1.2 内的妥当性と実験計画
  5.1.3 間接的な統制:できる限りのすべての事柄をブロックとし,それ以外を無作為化せよ
  5.1.4 ケース・スタディ:測定実験:公共財自発的供給メカニズム
 5.2 実験のインセンティブ構造
  5.2.1 インセンティブの論理
  5.2.2 そもそもなぜインセンティブが重要なのか?
  5.2.3 実験実施上の問題:多数回プレーの場合のインセンティブ
  5.2.4 他者をも考慮する選好と実験のインセンティブ両立性
 5.3 パラメータと実験処理
  5.3.1 直接的な統制
  5.3.2 処理パラメータと実験的処置
  5.3.3 被験者間計画:無作為化を通じての処理効果の識別
  5.3.4 被験者内計画:ブロック化戦略による処理効果の識別
  5.3.5 複数の処理
 5.4 認知された実験
  5.4.1 認知された状況:実験説明書
  5.4.2 虚偽の説明は決して使用しないこと
 5.5 認知された相手と学習
  5.5.1 実験室外の評判
  5.5.2 繰り返し実験:パートナー条件とアウトサイダー条件
 5.6 ケース・スタディ:信念の誘出
  5.6.1 信念誘出手法
  5.6.2 信念誘出と実験における行動
 要約

6. 実験の実施
 6.1 実験実施のはるか以前:実験室の設置
  6.1.1 被験者用待機室
  6.1.2 実験室
  6.1.3 実験者用待機室
  6.1.4 謝金支払い手続き
 6.2 2か月前:基礎的事項
  6.2.1 実験説明書
  6.2.2 コンピュータ上の説明文
  6.2.3 被験者プール
  6.2.4 実験資金
 6.3 1か月前:最終的な設定
  6.3.1 プランニング
  6.3.2 パイロット実験の実施
  6.3.3 パイロット実験からのフィードバック
 6.4 1週間前:実験実施まであと一歩x
 6.5 D-デイ:手続きの段階的説明
  6.5.1 被験者が到着する前
  6.5.2 被験者の到着
  6.5.3 実験セッションの終了
 6.6 ケース・スタディ:異時点間の選択における選好
  6.6.1 異時点間の選択における選好を測定する単純な手法
  6.6.2 時間選好測定に対する実験的課題
  6.6.3 異時点間の選好を測定する洗練された手法
 要約

7. 実験データの計量経済学
 7.1 実験データ
  7.1.1 例題
  7.1.2 データのタイプと測定尺度
  7.1.3 標本抽出
  7.1.4 探索的分析
  7.1.5 実験データ分析の手法
 7.2 推定と統計的推測
  7.2.1 推定値と標本分布
  7.2.2 信頼区間
 7.3 検定手続き
  7.3.1 仮説検定:一般原則
  7.3.2 ノンパラメトリック検定対パラメトリック検定
  7.3.3 一標本検定
  7.3.4 独立標本の検定
  7.3.5 対応のある標本および反復測定検定
 7.4 ケース・スタディ:リスク下の選好の誘出
  7.4.1 期待効用理論
  7.4.2 リスクに対する態度の誘出手法
  7.4.3 単純な視覚的手法:Binswanger(1980)
  7.4.4 よく知られた一対ギャンブル法:HoltandLaury(2002)
  7.4.5 価値等価法:トレードオフ法
  7.4.6 確実性下の個人の選好に関する計量経済学
 要約

IV実験室実験が教えてくれること
8. 実験結果の外的妥当性
 8.1 外的妥当性はいつ,またどのように問題になるのか?
  8.1.1 外的妥当性に関する多くの意味
  8.1.2 外的妥当性とターゲット・パラメータの定義
  8.1.3 外的妥当性に対する広範な課題
 8.2 外的妥当性は検証可能か?
 8.3 外的妥当性の検証
  8.3.1 類似性:実験者要求効果
  8.3.2 頑健性:実験室固有の実施ルールの効果
  8.3.3 推測:被験者プール・バイアス
 8.4 ケース・スタディ:再現:蓄積された経験による信頼の強化
  8.4.1 「実験研究から虚偽を締め出そう」:再現の必要性
  8.4.2 再現研究から累積的研究へ
  8.4.3 例と現行の実践
 要約

9. より正確な理論とより良い公共政策:実験経済学の貢献
 9.1 理論の検証:(因果的な)実験的証拠からの一般的な教訓の抽出
  9.1.1 理論は事実と一致しているか?
  9.1.2 どのような種類のデータが帰納に値するか?
 9.2 ケース・スタディ:合理的行動,不合理的推論:レベルkモデル
  9.2.1 経験的な推論の深さ
  9.2.2 戦略的思考におけるレベルk的洗練
  9.2.3 レベルk的推論とオークションにおける行動
  9.2.4 タイプに関する経験分布を観察する
 9.3 実験室における公共政策のたたき台:マッチング市場の例
  9.3.1 両側マッチング市場における政策変更
  9.3.2 実験計画
  9.3.3 実験の結果
 9.4 王子の耳にささやく:行動公共政策
  9.4.1 リベラル・パターナリズム:リベラリズムあるいはパターナリズム?
  9.4.2 例:時間不整合性とデフォルトの選択xii
  9.4.3 厚生評価
 要約

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訳者あとがき
索引

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