感性バイオセンサ ―味覚と嗅覚の科学―

都甲 潔(編著)

都甲 潔(編著)

定価 5,280 円(本体 4,800 円+税)

A5判/264ページ
刊行日:2001年09月20日
ISBN:978-4-254-20109-3 C3050

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内容紹介

21世紀の個性ある豊かな生活に向け,“感性”という最も生物・人間的な感覚を定量化するための科学技術の最新情報を解説。〔内容〕食文化/おいしさの科学/味・匂いの受容から認識まで/味覚センサ/匂いセンサ/感性バイオセンサへ向けて

編集部から

目次

1. 食文化
 1.1 味と生活
  食品素材の味と料理の味/家庭の味,外食の味,給食の味
 1.2 基本味とおいしさ
 1.3 日本人の食文化
  主食と副食/奈良時代にもあったミルクや乳加工品
 1.4 環境と食べ物
  日本の位置/米食と肉食/ジャポニカ種米とインディカ種米/肉食忌避/牛乳の好きな人,嫌いな人/ラーメンのスープ
 1.5 味の評価
  官能検査/官能テストの手法
2. おいしさの科学
 2.1 おいしさの構成
  生理的欲求に合致するおいしさ/脂肪は高カロリーゆえにおいしい/欠乏が起こりやすい栄養素に対しては生理的欲求が顕著である/身近な生理的欲求がおいしさに及ぼす影響/文化としての受諾性の有無/情報によって生まれるおいしさ/安全の情報が失われるとヒトは野性動物の行動をとる/人間では,食の情報は味覚ではなくて文字によって得られる/薬理学的なおいしさ
 2.2 おいしさの進化と階層性
  動物は味と栄養素とを対比させていった/味よりも感度の高い匂いによって安全性を推定する/視覚も動員される/情報が安全性と栄養を担う/情報は生存のための手段から離れて,ひとりあるきしている/情報は錯覚をもたらす/安全・栄養のためのおいしさから快感のためのおいしさが産業レベルで生産されはじめた/人間は嗜好品として苦味の薬理効果を楽しむこともある/これらの階層がまだ混然と存在している
 2.3 おいしさとまずさの感覚の脳機序
  おいしさに関わる脳内物質/まずさに関わる脳内物質
 2.4 おいしさから嗜好へ
  「忘れられない」おいしさ/食べ物に懲りる―味覚嫌悪学習
 2.5 おいしさの感性量とセンサ
  最もおいしい味付けを可能にする調理補助センサの可能性/文化的要因,嗜好による個人差の校正/オーソライズされたおいしさのデータベース化/だしのおいしさセンサに応用する
3. 味の受容から認識まで
 3.1 細胞膜の一般的性質
  細胞膜の構造/細胞膜と静止電位/細胞膜と活動電位/ナトリウムポンプ
 3.2 味覚の受容器
  味蕾の分布と数/味蕾の微細構造/舌の神経支配/味覚感受性の舌における部位差
 3.3 味刺激の受容
  味細胞と味物質/塩味の受容メカニズム/酸味の受容メカニズム/甘味の受容メカニズム/苦味の受容メカニズム/うま味の受容メカニズム/味覚受容体(レセプターサイト
 3.4 味神経での味情報
  味細胞から味神経への情報伝達/味細胞と味神経の結合/味の強さの情報/味の質の情報
 3.5 味神経情報の末梢性調節
 3.6 神経から脳,そして認識・識別へ
  中枢神経系における味覚伝導路/中継核の味覚情報処理/大脳皮質の味覚情報処理
4. 匂いの受容から認識まで
 4.1 匂いの特性
  嗅細胞/匂い物質の性質/匂い応答の測定/匂い情報の電気的な情報への変換/匂い物質によるセカンドメッセンジャーの産生/cAMPおよびIP3を介さない匂い応答/異性体の匂い/匂いの識別
 4.2 匂い受容体
  嗅覚GPCRのクローニングと機能/単一の嗅細胞は多数の匂いに応答する/単一嗅細胞には多数の匂い受容体が存在する/嗅球における匂い情報の統合の二面性/嗅覚GPCRを介さない匂い応答
 4.3 高等動物におけるフェロモン受容
  ヒトにおけるフェロモンの作用/フェロモンの受容器:鋤鼻器/鋤鼻器感覚細胞の電気的性質/フェロモン応答に関与するセカンドメッセンジャー/フェロモンの識別機構/副嗅球における記憶
5. 味覚センサ
 5.1 味覚センサの原理と構成
 5.2 5基本味への応答
 5.3 アミノ酸とジペプチド
 5.4 渋味と辛味
 5.5 食品測定例
  ビール/コーヒー/ミネラルウォーター/茶/牛乳/米/果汁
 5.6 熟成管理
  日本酒/味噌
 5.7 医薬品の苦味
 5.8 味覚センサを用いた水質モニタリング
 5.9 各味質への選択性向上
6. 匂いセンサ
 6.1 匂いセンサの原理と分類
 6.2 金属酸化物半導体型匂いセンサ
 6.3 有磯導電性ポリマーを用いた匂いセンサ
 6.4 静電容量型匂いセンサ
 6.5 MOSFET型匂いセンサ
 6.6 水晶振動子型匂いセンサ
 6.7 SAW型匂いセンサ
 6.8 表面プラズモン共鳴型匂いセンサ
 6.9 蛍光型匂いセンサ
 6.10 エレクトロニックノーズとその応用
  エレクトロニックノーズを用いた単純な匂いの認識・検知/エレクトロニックノーズの食品分野への応用/エレクトロニックノーズのインテリジェント化
7. 感性バイオセンサに向けて
 7.1 感性バイオセンサ
 7.2 味覚・嗅覚を測る集積化センサとグローバルセンサ
  集積化センサとグローバルセンサ/SPV法を用いた集積化味覚センサ/イオンセンサを用いた味覚センサ
 7.3 味覚センサの情報処理技術とその応用
  味の分類と特徴抽出/味の定量評価
 7.4 匂いセンサ・味覚センサ融合による味の認識
  実験システムと実験方法/測定結果
8. 索  引

執筆者紹介

【編集者】都甲 潔
【執筆者】田中千佳子,伏木 亨,眞鍋康子,村山伸樹,柏柳 誠,都甲 潔,南戸秀仁,勝部昭明

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