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ベラン世界地理大系 12 インド・南アジア
内容紹介
フランス独自の視点から世界の地理を読み解く。〔内容〕インド亜大陸/インド連邦/カルカッタとボンベイ/カシュミール地方/ハイデラバードとバンガロール/パキスタン/バングラデシュ/ネパール/スリランカ/ブータン/モルディブ/他
編集部から
海外で定評の“Geographie Universelle”(BELIN-RECLUS)を完訳。
原題の“Ge´ographie Universelle”を標榜するフランスの世界地誌シリーズは過去に2回(1876─94[全19巻],1927─48[全15巻]。1820─29も含めて3回とする説あり)刊行されており,長い伝統を有している。中でも48年に完結した15巻はヴィダル・ドゥ・ラ・ブラーシュの編纂によるもので,ブラーシュの名は「環境可能論」の提唱者として日本でも名高い。
本大系の原著はこの“GU”の嫡流に当たる。3回目のシリーズとしてBelin-Reclus社から1990─96年に全10巻構成で出版されたものだが,“GU”としては初めての日本語版である(第1巻『世界I』から第20巻『ラテンアメリカII』まで原著各巻を2分冊で刊行予定)。
『図説大百科世界の地理』などの既刊関連書と読み比べるとわかるが,基本データをまとめて表示するようなことはせず,すべてが文章中に解説される。また内容構成上も,自然と人文,あるいは気候,地形,歴史,政治などといったカテゴリーを区分して説明せず,国や地域を単位として総合的な記述を試みている。
例えば,第1回配本の第12巻『インド・南アジア』(星埜守之・柴田匡平編訳)は,「領土の起源」「都市のネットワーク」「デルタ地帯と人間」といった章立てで,空間構造の地理学的な解釈と新たなモデルの提示が主体を成し,シンボリックな図版が添えられている。この点で英米の地誌とは異なる独特の雰囲気を醸し出している。
原文がフランス語(それもかなり難解な)ということもあり,編訳者は各巻ごとに仏語・地理の専門家が2人ずつ配され,全体を田辺先生(地理)と竹内先生(仏語)にチェックいただいた。先生方の労苦が報われることを切に願う。 (三尾)
目次
Ⅰ インド亜大陸
1. 領土の起源
2. さまざまなルーツ
3. 人 口
4. インド世界の諸空間
Ⅱ インド連邦
5. 妥協と紛争
6. インドの道
7. 農業の限界
8. 都市のネットワーク
9. 工業発展と国土整備
Ⅲ インド連邦の諸地域
10. 大都市の重み―ムンバイとコルカタ―
11. ヒンドゥスタンの中央で
12. 中央部の辺境と山岳部の辺境
13. 南インド
Ⅳ インド地域におけるイスラーム国
―パキスタンとバングラデシュ―
14. イスラームとインダス川の国,パキスタン
15. パキスタンの新しい装い
16. パンジャーブ州と他の諸州―矛盾と機能不全―
17. バングラデシュ―古い国と新しい国民―
18. デルタ地帯と人間
Ⅴ 島国と山国
19. アジアの先端,スリランカ
20. 統合と分断のはざまにあるスリランカ
21. 山頂の国々と,水面に浮かぶ花モルディブ
編訳者あとがき
索 引
参考文献
出典一覧
執筆者紹介
【監修】
R,ブリュネ
【監訳】
田辺 裕(前東京大学)
竹内 信夫
【編訳】
星埜 守之(東京大学)
柴田 匡平(信州大学)
【翻訳】
星埜 守之(東京大学)
後藤 敏郎
中尾 和美
白井 恵一
井田 尚