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ベラン世界地理大系 17 アメリカ
内容紹介
フランス独自の視点から世界の地理を読み解く。〔内容〕新世界の創設/移住者の波/人種のるつぼの神話と現実/都会人の国家/資源問題/工業/農業/観光業/西部と南部の新しい空間/内陸の対角線/合衆国の帝国主義体制/文化的空間他
編集部から
海外で定評の“Geographie Universelle”(BELIN-RECLUS)を完訳。
目次
I 新世界の創設
・ 合衆国の精髄,あるいは富をいかに生み出すか
・ アメリカ合衆国の三枚のスカーフ
・ 合衆国の帝国主義体制
1. 国土の占有化
国土の明確化/ 入植地の幾何学的な網目/ 継承された景観の三様態/ イデオロギー的指向対象と空間の実践/ 個人主義と共同体主義/ プラグマティズム,差別そして暴力/ 利己主義をともなう救世主信仰/ 神聖視される自然,嫌われる都会風/ 場所とその互換性/ 成功を示す景観/ 象徴としての個人住宅
2. 住民:神話と現実
世界第 3 位の人口/ 移住者の波/ 移住の停泊地/ 人種のるつぼの神話と現実/ 200 以上もある宗教/ 分離,不平等そして社会的再生産/ 統合に対する反発と拒否/ 愛国的な儀式がおこなわれる舞台/ 商業向けの公共空間/ 宗教的空間の流動性/ 流動性と広告
3. 都会人の国家
郊外と消費社会/ 力の象徴としての都心/ 「反=都市化」という幻想/ 都市システムの諸力/ 集中と分散/ 大都市,もう一つの住環境/ 都市の二つの世界/ 都市の新たなネットワーク
4. 資源問題
領土拡張,つまり次々と更新される最前線/ 農業空間の侵食/ 農地をめぐる駆け引き/ 消費された森林から植林された森林へ/ 鉱山の荒廃/ 膨大な埋蔵量の化石エネルギー資源/ 水の挑戦/ 西部における「水戦争」/ 空間の需要と土地の投機/ 自然環境保護の自覚
5. 工業の空間と周期
成長の周期/ 工業部門での雇用という重い遺産/ 諸工業のための新たな地域/ 真の工業力/ 異を唱えられている多国籍企業/ 経済の推進力としてのハイテク/ ハイテク産業の諸地域/ シリコンヴァレーの叙事詩的壮挙/ シリコンヴァレーはかつてのシリコンヴァレーではない/ 軍需産業は西部において有利である/ 本拠地の集中と主導力の地理学/ アメリカ全体で見た賃金の不平等/ 二重経済に向けて/ 工業力の維持:2000 万人の雇用
6. 農業関連産業機構の有効性
機械と研究の勝利/ 食品工業関連企業の重要性/ 農業進展の跛行性/ 農地資本主義/ 家族経営農場の脆弱さと依存性/ 農業の大転換
7. 観光業という一大事業
公園の中の自然と歴史/ 作り話の世界/ ディズニーワールドの事業/ 寒冷地から 3 時間の太陽の楽園,フロリダ州/ クルージングと退職生活/ 世界システムにおける合衆国の各地域/ 内と外の弁証法的関係
8. 北東部は今もアメリカの「心臓部」
ボスワシ[ボストンからワシントンにかけての人口稠密地帯],あるいは西部への跳躍台/ 世界の大都市,ニューヨーク/ マンハッタン,あるいはハイパーセンターの発展/ モザイクと無計画性/ メガロポリスの南側地域/ 首都ワシントン/ ニューイングランドの個性/ 再発見されたニューイングランド/ 五大湖の回廊地帯/ 中心部かつ界面としてのシカゴ/ 輸送の中心都市/ デトロイトとミシガン州:フォード方式から危機へ/ 困難な産業転換:ピッツバーグ/ オハイオ川流域地方/ 移住者の集まる行き先/ 世界の乗降口/ 農業「大国」としての北東部/ 酪農あるいは家禽飼育/ コーンベルト地帯の変化
9. 西部と南部の新しい空間
もう一方の最前線/ 先端技術と軍需産業/ メトロポリス化と二元化/ 新しい「エリス島」/ 脅かされている環境/ 太平洋岸の山岳地帯と平原/ 太平洋沿岸地方/ 世界第 6 位の勢力/ 合衆国の海軍工廠/ アメリカ第一の農業州/ 中心地,あるいは界面/ カリフォルニア州の地域格差/ ゴールデンゲート・ブリッジ(金門橋)/ 州南部の巨大都市圏/ 多核都市群/ ピュージェット湾の側から/ 開拓者の北西部/ 橋頭堡としてのハワイ/ 南西部のオアシスおよびカリフォルニア州のモデル/ 海岸沿いのヒルビリー[南部僻地の田舎者],旧南部と新南部/ テキサスは州,それとも国家?/ ヒューストン:あるいは人も羨むような成功の落とし穴/ ダラス―フォートワース:あるいは大都市の役割の確認/ ニューオーリンズとルイジアナ州/ フロリダ州とその象徴/ マイアミ:観光業と銀行のリズムで/ 都市の力で若返った大西洋岸の旧南部/ 南部の大都市アトランタ
10. 内陸の対角線
道路を横切る河川網/ 内陸「旧南部」の刷新/ 綿花ベルト地帯から混合農業へ/ 森林産業のための開拓地/ アパラチア山脈とアメリカ式の国土整備/ インディアン追放から粗放牧畜(オープンレンジ)まで:南北両ダコタ州/ アメリカの穀倉/ グレートプレーンズの農民/ グレートプレーンズの諸都市/ 河川都市/ 鉱物の大海原と小さな島々/ 玄関口,あるいは新中心地としてのデンヴァー/ モルモン教徒の都市/ アメリカインディアン
11. 帝国の諸次元
世界との新たな関係に向かって/ 覇権主義は高くつく/ ドルの運命/ 大企業の力と弱点/ 新たな連合関係/ 隣国をつなぎとめること/ フォード方式から「柔軟な」社会への移行/ 格差が拡大する
12. 合衆国の文化的空間
アメリカ神話/ 大きなイデオロギー的支え/ ヨーロッパの危機がアメリカ神話の利益になる/ 文化的直接行動主義と情報の支配/ 言語媒体/ 文化帝国主義の限界
アメリカの諸地域
編訳者あとがき
参考文献
出典一覧
索 引
執筆者紹介
【監修】
R,ブリュネ
【監訳】
田辺 裕(前東京大学)
竹内 信夫
【編訳】
鳥居 正文(前青山学院大学)
大嶽 幸彦(前上越教育大学)
【翻訳】
東松 秀雄
井上 正