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シリーズ〈農学リテラシー〉 エネルギー作物学
森田 茂紀(編著)
内容紹介
これからのエネルギー情勢を見据え,ますます重要になる再生可能エネルギーの1つ,バイオエネルギーの原料となるエネルギー作物を対象とした作物学・栽培学の教科書。食料との競合問題から非食用作物・非農地栽培といった視点を重視。
編集部から
○本シリーズについて
日本には農業者の経験に基づく農学の歴史があり,老農と呼ばれる篤農家が日本各地で多くの農書を残しています。一方,近代農学は,明治時代にお雇い外国人の助けを借りて始まりました。現在,日本の近代農学は第2世紀を迎えていますが,地球・地域における課題は複雑化し,農学は,単に生存のための食料生産を支えればよいという段階を超え,ミッションの再定義が求められています。例えば,地球温暖化を始めとする環境問題は喫緊の課題ですし,化石エネルギーやリンの枯渇も視野に入れておかなければなりません。このようなニーズを背景にして,関連分野の研究成果も積極的に取り入れながら,持続的な社会の構築のために農学は新たな展開を進めています。明治時代に始まったころの食料生産支援科学としての農学をバージョン1.0とすれば,このような新しい農学は「農学2.0」に進化しています。その研究成果を基にして農学的教養教育を構築することが,持続的な社会を実現していくための人材の養成に必要となります。そこで,進化を続ける「農学2.0」の成果を「農学リテラシー」として再構築し,現代農学を俯瞰するために本シリーズを企画しました。
目次
第1章 バイオマスエネルギー〔森田茂紀〕
1-1 持続的社会構築の課題
1-2 バイオマスエネルギー
1-3 エネルギー作物の要件
1-4 エネルギー作物学の構築
第2章 エネルギー作物の分類と特徴
2-1 エネルギー作物の分類〔森田茂紀〕
2-2 糖質系エネルギー作物〔服部太一朗〕
2-3 セルロース系エネルギー作物〔関谷信人・森田茂紀〕
第3章 エネルギー作物の栽培戦略〔服部太一朗〕
3-1 バイオエタノール生産のエネルギー効率
3-2 温室効果ガス削減効果と土地利用の変化
3-3 エネルギー作物栽培の課題と戦略
第4章 エネルギー作物の栽培地選定〔関谷信人〕
4-1 エネルギー作物と農地利用問題
4-2 エネルギー作物の栽培地探索―実際の事例から―
第5章 エネルギー作物の栽培システム 〔関谷信人〕
5-1 多年生作物の栽培研究
5-2 エネルギー作物の栽培技術
5-3 条抜き多回刈りの考案
第6章 エネルギー作物の群落発育学〔金井一成・森田茂紀〕
6-1 収量形成と群落の発育
6-2 群落の発育と構造の解析
6-3 群落の構造と形成過程
6-4 群落構造と栽培管理法
第7章 エネルギー作物のストレス耐性〔塩津文隆・阿部 淳〕
7-1 根系形成とストレス反応
7-2 根の構造とストレス耐性
7-3 不良土壌条件での栽培試験
第8章 作物栽培とエネルギー〔金井一成・高田圭祐・桐山大輝・森田茂紀〕
8-1 作物栽培とエネルギー
8-2 収穫システムの最適化
8-3 乾燥システムの最適化
8-4 運搬システムの最適化
8-5 利用システムの最適化
8-6 耕作放棄地の分類と対策
第9章 バイオマスエネルギーの変換〔服部太一朗〕
9-1 バイオマスエネルギーの変換と利用
9-2 バイオエタノールの原料と製造工程
第10章 バイオマスエネルギーの利用〔土肥哲哉〕
10-1 バイオマス発電の動向
10-2 バイオガス発電の動向
10-3 バイオマス発電の展望
10-4 バイオマス産業都市構想
10-5 ドイツのバイオマス利活用
第11章 エネルギー作物としてのイネ〔塩津文隆〕
11-1 日本の農業とイネのバイオマス利用
11-2 耕作放棄地とイネのバイオマス生産
11-3 イネのバイオマス利用と多様なイネ
11-4 米のバイオエタノール化実証事業
11-5 イネのバイオマス利用の課題と展望
第12章 エネルギー作物と地域振興〔阿部 淳〕
12-1 バイオマスとエネルギー作物
12-2 エネルギー作物の試験栽培
12-3 福島原発事故被災地での利用
12-4 阿蘇におけるススキの利用
第13章 エネルギー作物の持続可能性〔関谷信人〕
13-1 エネルギー作物の課題
13-2 エネルギー作物の根系
第14章 バイオマスエネルギーの社会学〔松田浩敬〕
14-1 バイオ燃料導入の動き
14-2 バイオ燃料導入の背景
14-3 バイオ燃料生産の現状
14-4 バイオ燃料の特性と疑問
14-5 バイオ燃料と持続的農業生産
索 引
執筆者紹介
【総編集】
森田 茂紀(東京農業大学)
【著者】
森田茂紀、服部太一朗、関谷信人、金井一成、塩津文隆、阿部淳、高田圭祐、桐山大輝、土肥哲哉、松田浩敬