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内容紹介
中部地方の地質を「総論」と露頭を地域別に解説した「各論」で構成。〔内容〕【総論】基本枠組み/プレート運動とテクトニクス/地質体の特徴【各論】飛騨/舞鶴/来馬・手取/伊豆/断層/活火山/資源/災害/他
編集部から
地方地質誌は,その地方の地質を知るため最初に手にする書籍である。その地方に関する地質学についての情報は膨大であり,それらを1冊の本にまとめることは多大の労力とともに多くの頁数を要する。
本書では中部地方の地質体の形成と地質構造の発達史-テクトニクス-に焦点を当てる。
総論では,中部地方に露出する露頭で観察される事象に基づいて組み立てられたテクトニクスを述べる。その根拠となっている事象を具体的に示すため,各論においてそれらの露頭を紹介する。ここに選ばれたのは,中部地方を代表する165の露頭である。
紹介する露頭については,その地点へ誰でも行けるように地形図および交通手段などを記載し,露頭の写真も掲載した。原画のカラー写真はCD-ROMに収録し,さらに頁数の関係で掲載できない写真や地図なども収め読者の便宜を計った。地方地質誌であることから多数の具体的地名や地質体名が使用されるが,読み方の難しいものもあるので,すべてふりがなを付した。紹介する露頭の多くは,国際学会や国内学会の際に行われる地質巡検でたびたび見学地点として取り上げられている。読者も本書を参考にこれらの露頭を訪れ,自ら中部地方のテクトニクスを担っている地質事象に触ることをお勧めする。(序文より) (千葉)
目次
総 論
Ⅰ. 中部地方の基本枠組を構成する付加体の帯状構造
Ⅰ.1 中部地方のプレートテクトニクスの枠組と帯状構造
Ⅰ.2 地質学の革命を支えるもの
Ⅰ.3 帯状構造と海洋底沈み込み付加体
Ⅰ.4 付加した海洋底堆積物
Ⅰ.5 付加した海山と礁成石灰岩
Ⅰ.6 海溝埋積堆積物と前弧海盆堆積物
Ⅰ.7 付加体をおおう浅海から陸域の堆積物
Ⅰ.8 海洋底沈み込みに伴う火成活動
Ⅱ. プレート運動とテクトニクス
Ⅱ.1 帯状構造の改変とプレートテクトニクス
Ⅱ.2 プレートの幾何学
Ⅲ. プレート運動と中部地方のテクトニクス
Ⅲ・1 現在進行中のテクトニクスとプレート運動
Ⅲ.2 現行過程の過去への追跡
Ⅲ.3 フィリピン海プレート沈み込み前の中部地方とプレート運動
Ⅲ.4 日本海拡大
Ⅲ.5 日本海拡大前の中部地方
Ⅲ.6 日本海拡大前の縁海拡大
Ⅲ.7 中央構造緑の活動
Ⅲ.8 飛騨帯・飛騨外縁帯の形成
Ⅳ. 中部地方の地質体の特徴
Ⅳ.1 中部地方の枠組となる付加体の特徴・岬
Ⅳ.2 中部地方の火成岩
Ⅳ.3 中部地方の変成岩
Ⅵ.4 申部地方の堆積岩に記録されている情報
Ⅵ.5 中部地方における放射年代と地磁気極性層序
Ⅵ.6 断層・構造線
Ⅵ.7 地質資源
Ⅵ.8 地質災害
各 論
1. 飛騨帯
1.1 概説
1.2 宇奈月変成帯の十字石片岩
1.3 片貝川沿いの飛騨変花崗岩と角閃石ミグマタイト
1.4 和田川流域の単斜輝石片麻岩
1.5 単斜輝石花崗岩(伊西岩)と灰色花崗岩
1.6 九頭竜地域,中竜鉱山のクロリトイド片岩
1.7 宝達山と富来地域の飛騨帯花崗岩類
2. 飛騨外縁帯・秋吉帯
2.1 概説
2.2 青海川の環状球顆クロム鉱石
2.3 青海地域湯ノ谷の高圧型変成岩類
2.4 青海川橋立ひすい峡
2.5 福地の岩坪谷層
2.6 福地:一重ケ根層
2.7 福地:吉城層
2.8 福地層の石灰岩層
2.9 一の谷層の下部層と中部層の境界
2.10 水屋ケ谷層
2.11 荒城川層
2.12 森部層
2.13 青海石灰岩
2.14 小滝コンプレツクス
2.15 姫川コンプレツクス
3. 舞鶴帯・超丹波帯
3.1 概説
3.2 大島半島南部
3.3 大島半島中部
3.4 高浜町城山公園
3.5 赤礁崎と片江鼻
3.6 南条山地北縁部の超丹波帯相当層
3.7 糸魚川市琴沢:舞鶴帯虫川コンプレックス堆積岩類
3.8 中ノ岳変斑れい岩体
3.9 水無川変成岩類
4. 来馬層群・手取層群
4.1 概説
4.2 大所川の来馬層群
4.3 姫川流域の来馬層群の凝灰岩層
4.4 折立峠の手取層群の扇状地堆積物
4.5 桑島の手取層群の化石壁
4.6 九頭竜川上流域の事取層群の含チャート礫礫岩
5. 美濃帯
5.1 概説
5.2 犬山地域のチャート・砕屑岩シーケンス
5.3 上麻生礫岩
5.4 金山ユニットのテクトニックメランジュ
5.5 根尾のペルム紀チャートと玄武岩
5.6 赤坂金生山のペルム紀石灰岩
6. 領家変成帯
6.1 概説
6.2 本宮山地域紅柱石帯の紅柱石片岩
6.3 本宮山地域の接触変成帯の泥質変成岩
6.4 富山村周辺の領家変成岩
6.5 西浦の神原トーナル岩とシンプルトニック岩脈
6.6 岡崎の武節花花崗岩
7. 三波川変成帯
7.1 概説
7.2 佐久間―天竜地域の三波川結晶片岩
7.3 御荷鉾緑色岩類
8. 秩父帯と四万十帯
8.1 概説
8.2 浜名湖西岸のジュラ紀メランジュ
8.3 水窪町の秩父帯南帯横断
8.4 長谷村戸台の幕岩石灰岩体
8.5 遠山川の白根帯
8.6 寸又川層群の砂岩泥岩互層
8.7 犬居層群のテクトニックメランジュ
8.8 三倉層群の整然相砂岩泥岩互層
8.9 瀬戸川層群整然層の海洋プレート層序
9. 白亜紀―古第三紀火山岩類
9.1 概説
9.2 九頭竜川林谷の先濃飛安山岩類
9.3 下呂火山灰流シート
9.4 田島火道角礫岩
9.5 大雨見山層群
9.6 笠ケ岳流紋岩のカルデラ断面展望
9.7 古第三紀太美山層群
10. 白亜紀―古第三紀深成岩類
10.1 概説
10.2 白亜紀前期末の還元型閃緑岩類
10.3 白亜紀後期の還元型花崗岩類
10.4 白亜紀最末期の還元型(チタン鉄鉱系)花崗若
10.5 古第三紀初頭の酸化型(磁鉄鉱系)花崗岩類
11. 小笠原諸島の地質
11.1 概説
11.2 母島御幸浜~南京浜の始新世貨幣石
11.3 母島西浦の高速火砕流と巨大吹き抜けパイプ
11.4 父島無人岩
11.5 南鳥島
12. 新潟
12.1 概説
12.2 巨大枕状溶岩
12.3 佐渡の小木玄武岩
12.4 津川層・七谷層の岩石・化石と堆積環境
12.5 寺泊階のタービダイト
12.6 西山層の岩石・化石と堆積環境
12.7 魚沼・灰爪層の岩石・化石と堆積環境
13. 北部フォッサマグナ~飛騨山脈
13.1 概説
13.2 別所層の黒色泥岩(頁岩)
13.3 青木層のタービダイト
13.4 柵層のファンデルタ堆積物
13.5 大峰帯:陸化と変形
13.6 爺ケ岳転倒コールドロン
13.7 槍―穂高火山
13.8 飛騨山脈の第四紀花崗岩
14. 北陸の第三系
14.1 概説
14.2 月長石流紋岩
14.3 能登の漸新世~中新世火山岩類
14.4 荒島岳コールドロン
14.5 東尋坊付近の中新世中期火山岩
14.6 黒瀬谷層~東別所層
14.7 黒瀬谷層・音川層・三田層申の凝灰岩層
14.8 珠洲地域の珪藻質泥岩と海緑石砂岩
14.9 薮田層/姿層境界の海緑石層
14.10 薮田層中の広域火山灰層
14.11 大桑層
14.12 富山湾の海底林
15. 甲府周辺の深成岩と東濃・三河の中新統
15.1 概説
15.2 甲府深成岩体
15.3 甲斐駒・鳳鳳花崗岩
15.4 設楽第三系
15.5 瑞浪層群明世層と産出化石
15.6 瑞浪層群宿洞層と生俵層
15.7 岩村層群遠山層
16. 南部フォッサマグナ
16.1 概説
16.2 御坂山地の海底火山と深海堆積物
16.3 富士川層群万沢累層の粗粒タービダイト
16.4 小河内層
16.5 遅沢砂岩の貝化石と曙礫岩
16.6 丹沢変成岩類
16.7 丹沢深成岩類
16.8 足柄層群
17. 伊豆半島
17.1 概説
17.2 仁科層群
17.3 湯ケ島層群・梨本石灰岩
17.4 下白岩の大型有孔虫化石露頭
17.5 堂ケ島
17.6 横山シルト岩
17.7 天城火山熱川溶岩
17.8 南崎火山
17.9 石花海海底峡谷
18. 東海地方太平洋沿岸域の新第三系・第四系
18.1 概説
18.2 女神層の異地性石灰岩体(男神岩体)
18.3 堀之内砂岩シルト岩互層
18.4 小笠層群岩井寺層
18.5 有度丘陵
18.6 牧之原台地と古谷泥層
18.7 渥美半島浜田海岸の海蝕崖
18.8 大崩海岸
19. 中部地方の断層・構造線
19.1 概 説
19.2 中央構造線北川露頭
19.3 高森山林道の鹿塩マイロナイト帯
19.4 中央構造線沿い錦橋露頭の鹿塩マイロナイト
19.5 足助剪断帯のシュードタキライト
19.6 左横ずれ変位を示す赤石裂線
19.7 活断層としての糸魚川―静岡構造線,国界橋露頭
19.8 西山温泉付近の糸魚川―静岡構造線
19.9 糸魚川―静岡構造線新倉露頭
19.10 富士川河口断層帯芝川断層
19.11 跡津川断層真川露頭
19.12 境峠断層の活断層露頭
19.13 伊那谷断層系念通寺断層露頭
19.14 水鳥の地震断層観察館内のトレンチ
19.15 濃尾平野西縁の養老断層
19.16 神縄断層
19.17 丹那断層
20. 火山活動
20.1 概説
20.2 新潟焼山
20.3 御嶽火山
20.4 焼岳火山
20.5 太郎坊の新富士テフラ群
20.6 伊豆東部火山群高塚山スコリア丘
21. 中部地方の地質資源
21.1 概説
21.2 佐渡相川金山
21.3 神岡鉱山鉱床の成困
21.4 能登の珪藻土
21.5 青海鉱山
21.6 大平長石
21.7 東濃地方中山鉱山の陶土
21.8 宇久須珪石と土肥金山
22. 中部地方の地質災害
22.1 概説
22.2 2002年氷見市谷屋地区の地すべり
22.3 1985年長野県地附山地すべり
22.4 1984年長野県西部地震による御嶽山の大崩壊
22.5 1911年稗田山大崩壊
22.6 大谷崩
22.7 1891年濃尾地震
22.8 1944年東南海地震およぴ1945年三河地震
22.9 中越地震に伴う大規模地すべり
引用文献
索 引
執筆者紹介
【編集委員長】新妻信明
【編集幹事】石渡 明,小嶋 智,竹内 誠
【編集委員】荒戸裕之,海野 進,榎並正樹,狩野謙一,鈴木和博,束田和弘,立石雅昭,延原尊美,野澤竜二郎,原山 智,星 博幸,三宅 明
【執筆者(執筆順)】新妻信明,石渡 明,小嶋 智,榎並正樹,竹内 誠,延原尊美,束田和弘,狩野謙一,野澤竜二郎,椚座圭太郎,後藤 篤,辻森 樹,宮島 宏,竹之内 耕,栗原敏之,児子修司,安達修子,新川 公,田沢純一,長谷川美行,茨木洋介,梅田美由紀,河合政岐,宮下純夫,田中姿郎,福井亜希子,鈴木和博,三宅 明,後藤益巳,毛利勝贋,丹羽耕輔,村松 武,小井土由光,棚瀬充史,原山 智,海野 進,小西健二,荒戸裕之,立石雅昭,周藤賢治,小林巌雄,小林祐一,新妻祥子,伊藤康人,柳沢幸夫,吉川敏之,渡辺真人,北村晃寿,藤井昭二,星 博幸,高橋正樹,入月俊明,細山光也,石川正弘,有馬 眞,小山真人,茨木雅子,柴 正博,廣木義久,河本和朗,道林克禎,高木秀雄,林 愛明,竹内 章,松島信幸,牧野内 猛,三宅康幸,早津賢二,島津光夫,加藤泰浩,赤羽久忠,中澤 努,島内洋志,籾倉克幹,森本 巌,足立勝治,千葉達朗,小野田 敏