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国立歴史民俗博物館研究叢書 8 樹木・木材と年代研究
内容紹介
樹木・木材を主題に,年代研究の成果を紹介。〔内容〕炭素14年代法と日本版較正曲線/年輪年代学の現在/日本列島先史・古代の木材利用/合掌造りの年代研究/歴博蔵・法隆寺建造物古材の資料研究。
編集部から
目次
第1 章 日本産樹木年輪の炭素14 年代測定の取り組み [坂本 稔]
1.1 炭素14 年代と較正年代
(1) 炭素14 年代法
(2) 較 正 曲 線
(3) 較正年代と炭素14-ウィグルマッチ法
1.2 日本産樹木年輪の炭素14 年代と問題の所在
1.3 新しい年代法
(1) 酸素同位体比年輪年代法
(2) 中世・近世樹木年輪の炭素14 年代測定
(3) 宮田村ヒノキ(336〜640 年)
(4) 平等院鳳凰堂遺構材(C 材:950〜1039 年,B 材:1015〜1179 年)
1.4 単年輪の炭素14 年代測定
(1) 樹木年輪と宇宙線
(2) 青葉神社三重塔柱ヒノキ追加測定(1675〜1810 年)
(3) 丸岡城天守二・三通し柱ケヤキ(1463〜1554 年)
(4) 専修寺御影堂ヒノキ材(1158〜1436 年)
(5) 中在家南遺跡第6 次調査出土ケヤキ(前41〜130 年)
(6) 甲賀市信楽町出土ヒノキ(前782〜前622 年)
(7) 白水B 遺跡出土センダン(前1049〜前927 年)
1.5 「日本版」較正曲線とIntCal の今後
第2 章 年輪年代学の現在 [箱﨑真隆]
2.1 年輪年代学とは
2.2 年輪年代法の原理
2.3 年輪年代法の長所・短所
2.4 酸素同位体比年輪年代法の登場
2.5 酸素同位体比標準年輪曲線の構築と延伸
2.6 新潟県新発田市青田遺跡の集落史復元
2.7 大韓民国金海市退来里遺跡の年代決定
2.8 もう一つの革新:炭素14 スパイクマッチングの確立
2.9 酸素同位体比年輪年代法に基づく白頭山10 世紀噴火年代の検証
2.10 宮城県多賀城跡外郭西辺柵木の年代と十和田a テフラの年代
2.11 国立歴史民俗博物館収蔵建造物古材の年輪年代測定
2.12 日本の年輪年代学のこれから
第3 章 先史・古代住居構築材の伐採時期を探る
─炭素14 年代とウィグルマッチ法の活用─
[小林謙一・坂本 稔]
3.1 本研究の目的と研究の経緯
3.2 ウィグルマッチングについて
(1) 神奈川県真田北金目遺跡の縄文時代後期木材の事例
(2) 秋田県中屋敷Ⅱ遺跡の縄文時代晩期柱材の事例
(3) 新潟県青田遺跡縄文時代晩期柱材の事例
(4) 栃木県寺野東遺跡水場遺構構成材の事例
3.3 測定対象資料と測定結果および検討方法
(1) 調布市入間城山遺跡
(2) 日野市吹上遺跡39 号住居
(3) A 遺跡A4 号住居など
3.4 分 析
(1) 少数年輪試料によるウィグルマッチング的手法の適用の是非
(2) 較正曲線におけるIntCal と日本産樹木年輪に基づく較正曲線の
差異の可能性について
(3) 先史・古代竪穴住居の構築材の準備における古材の再利用の有無
第4 章 合掌造りの謎を解く
─ 14C 年代法を古民家に適用したら,歴史の新しい見方が生まれた─
[中尾七重]
4.1 合掌造りについて
(1) 合掌造りの保存の歴史
(2) 合掌造りの研究の歴史
4.2 合掌造りの年代調査結果
(1) 重要文化財羽馬家住宅(富山県南砺市,五箇山旧上平村)
(2) 重要文化財村上家住宅(富山県南砺市,五箇山旧平村)
(3) 重要文化財岩瀬家住宅(富山県南砺市,五箇山旧上平村)
(4) 合掌民宿なかや/中谷家住宅( 富山県南砺市,相倉集落,
五箇山旧平村)
(5) 旧料亭かず良/旧酒井豊治家住宅( 富山県南砺市,
五箇山旧上平村)
(6) 旧山下陽朗家住宅(岐阜県大野郡白川村島,白川郷)
(7) 好々庵/旧宮部家住宅(岐阜県大野郡白川村,白川郷)
(8) 重要文化財旧江向家住宅(富山県南砺市,五箇山旧上平村)
(9) 神奈川県指定旧山田家住宅(富山県南砺市,五箇山上平村)
(10) 神奈川県指定旧野原家住宅(富山県南砺市,五箇山旧利賀村)
(11) 神奈川県指定旧山下家住宅(岐阜県大野郡白川村長瀬,白川郷)
4.3 合掌屋根の成立
(1) 合掌屋根の成立時期と幕領白川郷
(2) 合掌造りの前身古材
4.4 五箇山合掌造りの間取りについて
(1) 富山県の妻入り間取り民家
(2) 石川県の妻入り間取り民家
(3) 福井の妻入り間取り民家
(4) 滋賀県の余呉型
(5) 妻入り間取りの民家
4.5 妻入り間取りの民家分布と一向一揆占拠地
(1) 浄土真宗の道場
(2) 妻入間取り民家と道場建築
4.6 白川郷合掌造りの間取りについて
(1) 九間型間取り
(2) 九間型系間取りの白川郷合掌造り
4.7 合掌造りの成立過程
4.8 14C 年代調査と民家研究
第5 章 建造物古材による木材科学的資料研究
5.1 研究目的と経緯 [坂本 稔]
(1) は じ め に
(2) 法隆寺建造物古材(H-249)
(3) 木材科学的資料研究
5.2 資料の来歴と内容 [濵島正士]
5.3 資料調書のデータベース化 [藤井裕之]
(1) 2015 年時点の収蔵状況
(2) 調査にあたっての制約と課題
(3) 受 入 調 書
(4) 調書のデータベース化
(5) 目録の整備
5.4 古材資料の樹種調査 [大山幹成・藤井裕之]
(1) 我が国の文化財建造物における研究小史
(2) 樹種同定とは
(3) 法隆寺古材の樹種調査
5.5 建造物古材の炭素14 年代測定 [坂本 稔]
(1) 年代測定の前提
(2) 試料と測定
(3) 結果と考察
(4) 小 結
5.6 古材のキャラクタリゼーション [横山 操]
(1) 木材の経年変化
(2) 古材研究のこれまでとこれから
(3) 樹木・木材・古材
5.7 歴博所蔵建造物古材の建築史学調査と研究上の意義 [清水重敦]
(1) 文化財建造物保護における古材の保存
(2) 歴博所蔵建造物古材の建築史学調査
(3) 歴博所蔵建造物古材の建築史研究における意義
索 引
執筆者紹介
〔編集者〕
坂本 稔 国立歴史民俗博物館研究部
横山 操 京都大学大学院農学研究科
〔執筆者〕(執筆順)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館研究部
箱﨑 真隆 国立歴史民俗博物館研究部
小林 謙一 中央大学文学部
中尾 七重 山形大学理学部
濵島 正士 国立歴史民俗博物館名誉教授
藤井 裕之 前国立歴史民俗博物館共同研究員
大山 幹成 東北大学植物園
横山 操 京都大学大学院農学研究科
清水 重敦 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科