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内容紹介
グリーン関数法に基づいた固体内多電子系の意欲的・体系的解説の書。〔内容〕序/第一原理からの物性理論の出発点/理論手法の基礎/電子ガス/フェルミ流体理論/不均一密度の電子ガス:多体効果とバンド効果の競合/参考文献と注釈
編集部から
目次
1. はじめに
1.1 多体問題とは
1.2 自然の階層性
1.3 第1原理と模型
ライダウの2次相転移の理論/ハイゼンベルグ模型/ハバード模型/超伝導転移
1.4 物性理論の重層的体系
1.5 本巻の内容
1.6 別巻について
2. 第1原理からの物性理論の出発点
2.1 基本ハミルトニアン
主要項/相対論的補正/超微細相互作用/電子間相互作用に由来する補正/非相対論近似の評価
2.2 基底状態の基本的性質
シュレディンガーリッツの変分原理/ビリアル定理/ヘルマンーファインマンの定理/カスプ定理
2.3 ボルンーオッペンハイマー近似
電子座標と原子核座標の分離/断熱近似/非断熱効果とヤーンーテラーの定理/ベリーの位相
2.4 完全結晶中の多電子問題を記述するハミルトニアン
内殻電子と価電子/第2量子化表現/強束縛近似とほとんど自由な電子の近似/平面波の基底による展開/擬ポテンシャル/マーデルングエネルギー
3. 理論手法の基礎
3.1 量子統計力学
熱力学ポテンシャル/方法論の概観/ギブスの変分原理/変分原理の応用法/統計力学におけるヘルマンーファインマンの定理
3.2 摂動展開の形式論
相互作用表示/S行列/大分配関数/ブロッホードドミニシスの定理/連結クラスター定理/多体系を記述する波動関数
3.3 グリーン関数法
フィードバックと部分和/温度グリーン関数/スペクトル関数/レーマン表示/自由電子系のグリーン関数/ファインマンダイアグラム/ダイソン方程式/ラッティンジャー―ワードの熱力学ポテンシャル/バーテックス関数/ベイム―カダノフの保存近似法/自己エネルギー改訂演算子法/松原振動数の和のとり方
3.4 線形応答理論
久保公式/応答関数/応答関数のスペクトル表現/応答関数に対応する
温度グリーン関数
3.5 数値的解析接続
一般的注意/積分方程式を採用した解析接続/パデ近似/マキシマムエンドロピー法
4. 電子ガス
4.1 交換効果と相関効果
基底状態の概観/対分布関数/構造因子/交換エネルギー/相関エネルギー/直接項と交換項/長距離相関/短距離相関/相関エネルギーの数値結果/有効ポテンシャル展開法
4.2 圧縮率とスピン帯磁率
熱力学的定義/交換効果の影響/相関効果の影響
4.3 1粒子励起状態
ハートリー―フォック近似における自己エネルギー/相関効果の入った自己エネルギー/繰り込み因子と運動量分布関数
4.4 電荷とスピンの応答関数
電荷とスピンの密度演算子/誘電関数/動的構造因子/分極関数/高振動数極限とf-総和則/静的長波長極限と圧縮率総和則/RPAでの誘電関数/分極関数の改良/スピン応答関数
4.5 電子間有効相互作用
局所場補正/電荷揺らぎによるバーテックス補正/スピン揺らぎによるバーテックス補正/クッコネン‐オーバーハウザーの表式/ダイアグラムによる考察/局所場補正の実用形
4.6 実用的近似法
一般的注意/STLS理論の基礎/STLS理論の強磁場下電子ガス系の応用/プラズモン‐ポール近似
5. フェルミ流体理論
5.1 概観
正常相/正常相の記述における階層構造
5.2 理論の構築
1対1写像/励起状態のエネルギー/ランダウの相互作用関数/連続的な分布関数/熱的平衝状態/いくつかの注意
5.3 熱力学的性質
ランダウパラメータ/Z0の効果/F0の効果/F1の効果/一般化された分子場理論
5.4 輸送問題
ボルツマン方程式/ランダウ‐シリン方程式/サイクロトロン共鳴/コーンの定理/ドゥルーデ公式
5.5 準粒子の自己無撞着な運動
遮蔽効果/ω極限とq極限/散乱振幅/ランダウパラメータに対する総和則
5.6 コメント
ダイアグラムによる解析/非等方的フェルミ面
6. 不均一密度の電子ガス:多体効果とバンド効果の競合
6.1 アルカリ金属
実験事実/ハードコア/2次摂動/圧縮率とスピン帯磁率/電荷揺らぎとスピン揺らぎのクロスオーバー
6.2 第3周期単元素物質の構造傾向
1次摂動と2次摂動/イオン間有効相互作用/原子の一様密度電子ガス系への埋め込み/原子挿入法と有効媒質理論
6.3 バンドギャップ
完全結晶中の1電子グリーン関数/ブラッグ反射/準粒子のブラッグ反射/アルカリ金属に対する実験と理論
7. 参考文献と注釈
8. 索 引
執筆者紹介
【編集】
荒船 次郎
江沢 洋
中村 孔一
米沢 富美子
【著者】
高田 康民(前東京大学)