現代物理学[基礎シリーズ] 8 原子核物理学

滝川 昇(著)

滝川 昇(著)

定価 4,180 円(本体 3,800 円+税)

A5判/256ページ
刊行日:2013年04月25日
ISBN:978-4-254-13778-1 C3342

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内容紹介

最新の研究にも触れながら原子核物理学の基礎を丁寧に解説した入門書。〔内容〕原子核の大まかな性質/核力と二体系/電磁場との相互作用/殻構造/微視的平均場理論/原子核の形/原子核の崩壊および放射能/元素の誕生

編集部から

目次

1. 序 論
 1.1 原子核の構成粒子および基本的構造
 1.2 基本的粒子の属性
 1.3 相互作用
 1.4 有用な物理量
 1.5 原子核の種類
tea time 相図(核物質のQCD相図)

2. 原子核の大まかな性質
 2.1 原子核の大きさ
  2.1.1 ラザフォード散乱
  2.1.2 電子散乱
  2.1.3 質量分布
 2.2 核子数密度および核子のフェルミ運動量
  2.2.1 核子数密度
  2.2.2 フェルミ運動量:フェルミ気体模型,トーマス‐フェルミ近似
 2.3 質 量
  2.3.1 結合エネルギー:実験データと特徴
  2.3.2 質量公式(ワイツゼッカー‐ベーテの質量公式):液滴模型
  2.3.3 質量公式の応用(1):安定線,ハイゼンベルクの谷
  2.3.4 質量公式の応用(2):核分裂に対する安定性
  2.3.4 核分裂異性体(核分裂アイソマー)

3. 核力と二体系
 3.1 核力の基礎
  3.1.1 到達距離:不確定性関係による単純な評価
  3.1.2 動径依存性
  3.1.3 核力の状態依存性
 3.2 対称性(不変性)の考察による核力の一般的構造
  3.2.1 静的ポテンシャル
  3.2.2 速度に依存するポテンシャル
 3.3 重陽子の特性と核力
  3.3.1 テンソル力の影響:アイソスピン・スピン空間の波動関数
  3.3.2 動径波動関数:陽子‐中性子間力の大きさの目安
 3.4 核子‐核子散乱
  3.4.1 低エネルギー散乱:有効距離の理論
  3.4.2 高エネルギー散乱:交換力
  3.4.3 高エネルギー散乱:斥力芯
  3.4.4 スピン偏極の実験
 3.5 微視的考察:中間子論,QCD
 3.6 高精度で実用的な現象論的核力:現実的ポテンシャル
 3.7 自由空間での核力のまとめ
 3.8 核内での有効相互作用
  3.8.1 G行列
  3.8.2 現象論的有効相互作用

4. 電磁場との相互作用:電磁多重極モーメント
 4.1 電磁相互作用のハミルトニアンおよび電磁多重極モーメント
  4.1.1 双極子モーメントおよび四重極モーメントの演算子
  4.1.2 様々な補正
  4.1.3 磁気モーメントの測定:超微細構造
 4.2 電磁多重極演算子
 4.3 電磁多重極演算子の性質
  4.3.1 パリティ,テンソル性および選択則
  4.3.2 電磁モーメントの定義

5. 殻構造
 5.1 魔法数の存在
 5.2 平均場理論による魔法数の説明
  5.2.1 平均場
  5.2.2 無限に深い箱型井戸模型の場合のエネルギー準位
  5.2.3 調和振動子模型
  5.2.4 短距離力による静的ポテンシャルでの魔法数
  5.2.5 スピン軌道相互作用
 5.3 二重魔法数$\\pm 1$核の基底状態および低励起状態のスピン・パリティ
 5.4 奇核の基底状態の磁気双極子モーメント:1粒子模型
  5.4.1 シュミット線
  5.4.2 配位混合および芯偏極
  5.4.3 補足:クォーク模型による核子の異常磁気能率の理解
 5.5 準位間隔$\\hbar \\omega$の質量数依存性
 5.6 スピン・軌道力の大きさと起源
 5.7 陽子と中性子のポテンシャルの違い:レインポテンシャル
 5.8 二重閉殻$\\pm 2$核の低エネルギー状態のスピン・パリティと対相関
  5.8.1 ${}^{210}_{82}Pb$の基底状態および低励起状態のスピン・パリティ
  5.8.2 $\\delta$型残留相互作用の影響:対相関
tea time 超重元素

6. 微視的平均場理論(ハートリー‐フォック理論)
 6.1 ハートリー‐フォック方程式
  6.1.1 等価局所ポテンシャル,有効質量
  6.1.2 核物質および局所密度近似
  6.1.3 振る舞いの良いポテンシャルでの飽和性,交換特性への制約
 6.2 有限核に対するスカーム・ハートリー‐フォック計算
  6.2.1 スカーム力
  6.2.2 ハートリー‐フォック方程式
  6.2.3 エネルギー密度およびパラメターの決定
  6.2.4 実験データとの比較
  6.2.5 状態方程式,飽和性,スピノダル線,核表面の厚み
  6.2.6 ハートリー‐フォックを越える:核子‐振動運動相互作用,$\\omega$質量
 6.3 相対論的平均場理論($\\sigma, \\omega, \
ho$模型)
  6.3.1 ラグランジアン
  6.3.2 場の方程式
  6.3.3 平均場理論
  6.3.4 解き方への序章
  6.3.5 非相対論的近似とスピン・軌道相互作用
  6.3.6 パラメターセット
 6.4 対相関
  6.4.1 概 観
  6.4.2 対相関の多重極展開表示,単極子対相関模型および擬スピン理論
  6.4.3 BCS理論
  6.4.4 ギャップパラメターの大きさ
  6.4.5 コヒーレンス長

7. 原子核の形
 7.1 形に関する観測量:多重極モーメントおよび励起スペクトル
 7.2 変形パラメター
 7.3 変形殻模型
 7.4 変形した一体場の中での核子のエネルギー準位:ニルソン準位
 7.5 変形した奇核の基底状態のスピンパリティ
 7.6 形の理論的推定
  7.6.1 ストラチンスキーの処方箋:巨視的‐微視的方法
  7.6.2 拘束条件付ハートリー‐フォック計算
tea time 超変形状態

 8. 原子核の崩壊および放射能
 8.1 アルファ崩壊
  8.1.1 崩壊幅
  8.1.2 ガイガー-ヌッタル則
 8.2 核分裂
 8.3 ガンマ線放射による電磁遷移
  8.3.1 多重極遷移,換算遷移確率
  8.3.2 選択則および大きさに関する一般的考察
  8.3.3 単粒子評価:ワイスコップ単位および実測値
  8.3.4 電磁遷移確率と原子核の形および集団運動との関連

9. 元素の誕生
 9.1 概 観
 9.2 天体物理因子(S因子),ガモフ因子
 9.3 ガモフピーク
 9.4 中性子捕獲断面積
 9.5 重い元素の誕生:s過程およびr過程
tea time 元素合成の概観

10. 付 録
 10.1 散乱問題の基礎
  10.1.1 部分波展開
  10.1.2 ゾンマーフェルト‐ワトソン変換
  10.1.3 ポアソンの和公式
 10.2 半古典論の基礎I:WKB近似
  10.2.1 波動関数
 10.3 半古典論の基礎II:比較方程式法
  10.3.1 比較方程式法の原理
  10.3.2 WKB波動関数の導出
 10.4 アイコナール近似
  10.4.1 散乱振幅
  10.4.2 グラウバー理論
 10.5 非局所ポテンシャル
  10.5.1 微積分方程式
  10.5.2 等価な有効局所ポテンシャル:WKB近似
 10.6 テンソル代数
  10.6.1 テンソル演算子の定義
  10.6.2 既約テンソルの例
  10.6.3 ウィグナー‐エッカートの定理
  10.6.4 射影定理
  10.6.5 スカラー積とランク0のテンソル積の関係
 10.7 四重極モーメントと内部四重極モーメントの関係
 10.8 ガモフ模型に基づくアルファ崩壊幅の公式の導出:直接法
 10.9 電磁遷移の基礎
  10.9.1 全系のハミルトニアン
  10.9.2 光子の波動関数:ベクトル球面調和関数
  10.9.3 多重極展開と量子化
 10.10 相対論的運動方程式およびディラック方程式の記号

文 献
索 引

執筆者紹介

【編集】
倉本 義夫
江澤 潤一

【著者】
滝川 昇(前東北大学)

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